2026年4月20日
犬を飼い始めたら必ず耳にする「フィラリア予防」。フィラリア症は命に関わる恐ろしい病気ですが、正しい知識があれば防ぐことができるものです。
この記事では、犬のフィラリア予防について「いつから始めればいい?」「薬はどう選ぶ?」「費用はいくら?」といった、飼い主さんが知っておくべき基本情報をまとめました。
犬のフィラリア症とは?なぜ予防が必要なの?
フィラリア症(犬糸状虫症)とは、蚊が媒介する寄生虫「フィラリア」によって引き起こされる、犬に起こりやすい感染症の一つです。
フィラリアとは、糸のように細長い寄生虫です。蚊に刺されることで幼虫が犬の体内に侵入し、数ヶ月かけて成長しながら血液中を移動します。
その結果、血液の流れがせき止められるほか、心臓や肺の血管に住み着き、全身の臓器に深刻なダメージを与えます。最悪の場合は、命に関わることもあります。
もしフィラリアに感染してしまった場合、治療には手術やリスクが高い薬の服用が必要で、犬の体に大きな負担をかけることになります。
一方、予防であれば、1ヶ月に1回薬を投与するだけで感染をほぼ100%防ぐことができます。 苦しい思いをさせるリスクを考えれば、毎月の予防は愛犬の健康を守るために飼い主ができる最も確実な選択と言えるでしょう。
フィラリア予防薬の仕組み
フィラリア予防薬は、蚊や寄生虫を寄せ付けない「虫よけ」ではありません。蚊に刺されて侵入したフィラリアの幼虫が成長して血管に到達する前に、まとめて駆除する薬です。
フィラリアの幼虫が成虫に成長してしまうと、通常の予防薬では倒せなくなります。そのため成虫になる前の幼虫のうちに、1ヶ月に1回定期的に薬を投与し、駆除し続ける必要があります。
犬のフィラリア予防の期間はいつからいつまで?
フィラリア予防薬は、蚊の活動時期に合わせて、毎月投与する必要があります。
具体的には、蚊が出始めてから1ヶ月以内に予防を開始し、 蚊がいなくなってから1ヶ月後まで投薬を続けます。
一般的には5月から12月までという地域が多いですが、蚊の活動時期は住んでいる地域によって異なります。お住まいの地域がいつからいつまで予防が推奨されているか、把握しておくことが大切です。
また昨今は、温暖化の影響とアメリカ犬糸状虫学会のガイドラインに準じて、1年を通して通年で服用することを推奨している病院も多いです。
予防期間を決める指標
より詳しく解説すると、フィラリアの予防期間は、「HDU(有効積算温度)」という科学的な指標に基づいて算出されています。
フィラリアは、蚊が飛んでいればいつでも感染するというわけではありません。蚊の体内にいるフィラリアの幼虫が犬に感染できる強さまで育つには、一定以上の気温が必要です。
1日の平均気温が15℃を超えると、HDUの蓄積が始まります。この熱量が一定ラインに達した日が「感染開始日」となり、その1ヶ月以内に最初の投薬を行うことが推奨されています。
また秋になり気温が下がって、幼虫が育たなくなった日が「感染終了日」となります。その1ヶ月後に最後の投薬を行うのが一般的です。
【地域別】予防期間の目安
HDUを元に推奨される予防期間の地域別目安は、以下のとおりです。
ただし近年は温暖化の影響で、以前よりも開始が早く、終了が遅くなる傾向にあります。また同じ県内でも、山間部や都市部などの環境によってズレが生じることがあります。必ずお住まいの地域の動物病院が推奨するスケジュールを守るようにしてください。
北海道・東北
- 開始の目安:5〜6月
- 終了の目安:10〜11月
関東・東海・関西・中四国
- 開始の目安:4〜5月
- 終了の目安:11〜12月
九州
- 開始の目安:3〜4月
- 終了の目安:12月
沖縄・離島
通年予防が必要
犬のフィラリア予防薬の種類と選び方
フィラリア予防薬にはいくつかタイプがあります。注射タイプを除き、すべて「1ヶ月に1回」の定期投与が必要です。獣医師に相談しながら、愛犬の性格や体質に合わせて最適なものを選びましょう。
① おやつタイプ(チュアブル)
お肉のような味と食感がついた、最も人気のタイプです。薬をご褒美のように喜んで食べてくれるため、投薬のストレスがありません。
ただし 牛肉アレルギーなど、特定の食物アレルギーがある場合は投与できない可能性があります。
② 錠剤タイプ
小さくて味のついていない、シンプルな飲み薬です。おやつタイプに比べて安価なことが多く、食物アレルギーの心配もほとんどありません。
ただし愛犬の口を開けて飲ませたり、フードに混ぜたりと、飲ませ方に工夫が必要です。薬を飲むのが苦手な子の場合、ストレスがかかることもあります。
③ スポットタイプ(滴下薬)
首筋の皮膚に液体をポタポタと垂らすタイプです。口から飲ませる必要がないため、お腹が弱くて薬を吐きやすい子や、薬を飲むのが苦手な子に適しています。
逆に肌が弱い子は、塗った場所が赤くなったり毛が抜けたりすることがあり注意が必要です。
投与の前後2〜3日は、シャンプーや水遊びを控える必要があります。
④ 注射タイプ
注射で予防薬を投与することも可能です。動物病院で1回接種すると、半年〜1年間効果が持続します。
毎月投薬する必要がなく、飲み忘れのリスクがなくなるのが最大のメリットです。
一方、 飲み薬なら万が一体質に合わなければ中止ができますが、注射は一度打つと成分が半年〜1年体内に留まり続けるため、アレルギー反応などの副作用が出た場合に危険なことがあります。
また他のタイプの予防薬は、フィラリアだけでなくノミやダニも同時に駆除できる薬が多いですが、注射タイプはそれができません。フィラリアとノミ・ダニをそれぞれ別で予防する必要があります。
犬のフィラリア予防の流れ
フィラリア予防を始める前には、必ず検査が必要です。検査から投薬までは、以下のような流れで進みます。
ステップ1:血液検査(予防薬開始の1か月前〜当日)
毎年、最初の投薬を始める前に必ず動物病院で血液検査を受け、フィラリアに感染していないことを確認します。
もし万が一フィラリアに感染している状態で予防薬を飲んでしまうと、犬の体内にいる子虫が一斉に死滅し、その死骸が血管に詰まってショック症状を引き起こす危険があるためです。
「去年も飲ませていたから大丈夫」と思わずに、必ず毎年検査を受けましょう。検査はわずかな採血のみで、5〜15分程度で結果が出ます。
ステップ2:体重測定
体重に合わせた分量の薬が処方されるので、愛犬の体重を測りましょう。動物病院で検査と一緒に行えることがほとんどです。
ステップ3:薬の受け取り・投薬開始
検査で陰性が確認されたら、薬を受け取ります。投薬開始のタイミングは地域の蚊の発生状況によっても異なるので、動物病院で相談するのがいいでしょう。
検査のタイミングによっては当日すぐに投薬開始できることもありますし、検査日が早い場合などは少し経ってから投薬するよう指示されるケースもあります。
ステップ4:毎月投薬を続ける
シーズン中は毎月1回、決まったタイミングで投薬します。「毎月1日」や「愛犬の誕生日の日付け」など、覚えやすい日を投薬日に設定しましょう。
ステップ5:最後の1回を飲ませて完了
秋頃になり蚊を見かけなくなったからといって、途中でやめてはいけません。自己判断でやめてしまうと、フィラリアに感染するリスクがあります。最後の1回は、「蚊がいなくなってから1ヶ月後」です。
獣医師の指示に従って、必ず最後の一回まで飲み切りましょう。
犬のフィラリア予防の費用相場
薬の種類や犬の体重などによって料金は異なりますが、一般的な費用相場は以下のとおりです。あくまで目安なので、詳しくはかかりつけの動物病院に確認しましょう。
- 血液検査代: 2,000〜4,000円程度
- お薬代: 1,000〜3,000円前後(1ヶ月分)×8回程度
犬の健康に関する相談はオンラインでも
愛犬の健康を守りたいと思いつつも、ちょっとした変化や不安で動物病院を受診するのはハードルが高いこともありますよね。
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