【猫の秋の換毛期】冬毛に備える正しいケア方法や注意したいサイン
猫の病気

2025年10月8日

秋になると猫は換毛期を迎えます。冬の寒さから体を守るための大切な準備期間ですが、便秘などのトラブルも起こりやすくなるため、自宅でできる限りケアしてあげましょう。この記事では秋の換毛期に愛猫の抜け毛が増える理由や、注意したいサイン、愛猫の冬毛を健康に育てるための正しいケア方法などを解説します。

猫の換毛期は春と秋の2回!秋は冬毛への生え変わりタイミング

猫の換毛期(かんもうき)は春と秋の年2回で、このタイミングで被毛が大きく生え変わります。それぞれの換毛期の特徴は以下のとおりです。

春の換毛期

厚い毛(冬毛)が抜け、細くて薄い毛(夏毛)に生え変わります。この時期が一年で最も抜け毛が多くなります。

秋の換毛期

細くて薄い毛(夏毛)が抜け、冬の寒さに耐えるための密度の高い厚い毛(冬毛)に生え変わります。

秋の換毛期は、これから迎える冬の寒さから体を守るための準備期間です。体温を外に逃さないように、保温性の高いアンダーコート(下毛)が新たに生えてきます

猫の秋の換毛期はいつからいつまで?

猫の秋の換毛期は一般的に9月頃から始まり、11月頃までに冬毛が生え揃います。気温や日照時間の長さによって前後するほか、個体差もあります。

また最近は室内飼いの猫がほとんどで、1年中快適な気温で過ごせることが多いため、明確な換毛期が見られないケースもあります。

秋の換毛期で抜け毛が多くなりやすい猫種

換毛期による抜け毛が多くなりやすいのは、皮膚を保護する「オーバーコート(上毛)」と体温調節のための「アンダーコート(下毛)」を持つダブルコートの猫種です。換毛期には、体温調節のためのアンダーコートが大きく生え変わります。

抜け毛が多くなりやすい【ダブルコート】の猫種例

長毛種

ノルウェージャン・フォレスト・キャット、メインクーン、ペルシャなど。

寒冷地出身の猫が多く、非常に密度の高いアンダーコートを持つため、換毛期の抜け毛が特に大量です。毛玉もできやすい傾向にあります。

短毛種

スコティッシュ・フォールド、アメリカンショートヘア、ブリティッシュショートヘア

長毛種に比べると抜け毛は少なく感じられますが、換毛期には部屋中に抜け毛が散らばることもあります。

換毛期がなく抜け毛が少ない【シングルコート】の猫種

シングルコートの猫は、皮膚を保護する「オーバーコート(上毛)」しか持っておらず、季節に合わせて毛がごっそり生え換えることはありません。とはいえ一年を通して少量ずつ生え変わりはあります。

代表的な猫種

シャム、ロシアンブルー、アビシニアン、ベンガル、スフィンクスなど

秋の換毛期が始まったときに猫に見られるサイン

猫の換毛期が始まると、愛猫に以下のようなサインが見られます。

ブラッシング時の毛量増加

普段のお手入れやブラッシングの際に、明らかに多くの抜け毛がブラシに絡むようになります。

被毛の質感の変化

撫でたときやブラッシングをしているときに、新しく生え始めた硬くて太い毛(冬毛)の感触を感じ始めます。これから生え変わる古い夏毛は、パサついたように感じることがあります。

毛づくろいの増加または減少

愛猫自身が抜け毛を気にして、普段より入念に毛づくろいをしたり、毛づくろいの頻度が高くなったりすることがあります。あるいは何らかの理由で体調が悪いと、毛づくろいをしなくなることもあります。

行動範囲に抜け毛が目立つ

愛猫が休んでいた場所やお気に入りの場所、ソファ、カーペットなどに、抜け毛が目立って落ちるようになります。

愛猫の冬毛を健康に育てる!正しいブラッシングやケア方法

秋の換毛期は、冬の寒さに備えるための大切な時期です。健康な冬毛の成長を促すためにも、適切なケアをして古い毛を取り除いたり、皮膚の血行を促進したりしましょう。秋の換毛期に自宅で行いたいケアには以下のようなものがあります。

正しいブラッシングで抜け毛を除去する

毛玉や皮膚病を防ぐため、換毛期はできるだけ毎日ブラッシングを行いましょう。抜け毛をこまめに取り除くことで、毛づくろいで愛猫が飲み込んでしまう毛の量を減らすことができます。

ブラッシングは力を入れすぎず、愛猫がリラックスしているときにスキンシップを兼ねて優しく行いましょう。嫌がるときは無理に毎日行う必要はありませんが、少しずつ触れる時間を多くして慣らしていけるといいですね。

換毛期のブラッシングには以下のようなブラシを使うのがおすすめです。

  • スリッカーブラシ: アンダーコートの抜け毛をしっかり掻き出すのに適しています。
  • 獣毛ブラシ: 仕上げに使うことで、皮膚の血行を促し、毛にツヤを与えます。

便秘予防のために水分を補給させる

 猫はグルーミングを行うため、普段から自分の毛を少量ずつ飲み込んでいます。換毛期はいつもより大量に毛が抜けるため、その分多く飲み込みがちです。毛を多く飲み込むと、胃や腸の中で毛同士が絡まり合って毛玉になり、便の通り道を塞いでしまったり、毛が腸内の水分を吸い取って便が硬くなってしまったりして、便秘につながることがあります

便の滑りを良くするためにも、秋の換毛期には普段よりしっかり水分補給させるようにしましょう。ウェットフードを混ぜて与えたり、水飲み場を増やしたりして、飲水量を増やすサポートができるといいですね。

毛玉ケアフードを活用する

便秘がひどい場合などは、換毛期に合わせて毛玉の排出をサポートするフードに切り替えてもいいかもしれません。気になる場合は動物病院で獣医師に相談してみましょう。

乾燥を防ぐ

秋になると空気が乾燥してきます。空気が乾燥すると、人間と同じように猫の皮膚も乾燥しやすいです。
皮膚が乾燥するとフケが出やすくなったり、皮膚のバリア機能が低下したりして、健康な冬毛の成長が妨げられてしまう可能性があります。日頃から以下のようなことを意識して、乾燥を防いであげましょう。

  • ブラッシングの際に、猫用の保湿スプレーや化粧水を軽く吹きかける
  • 加湿器を使うなどして、室内の湿度を40~60%に保つ

栄養バランスの良い食事を用意する

被毛の主成分はタンパク質です。そのため秋の換毛期には、タンパク質をいつもより意識して摂らせてあげられるといいですね。動物性タンパク質の含有量が多いフードに変えたり、持病がなければささみや鮭などを与えたりしてもいいでしょう。

猫の秋の換毛期に注意したいサイン

秋にいつもより抜け毛が多くても、換毛期なので気にかけすぎなくてもいいことがほとんどです。ただし以下2つのポイントには注意が必要です。異変がないかよく観察するようにしましょう。

1. 抜け毛の飲み込みによる「消化器系の異変」がないか

換毛期は毛づくろいで大量の抜け毛を飲み込むため、消化器系にトラブルが起きやすい時期です。以下のサインが見られたら、飲み込んだ毛が原因でトラブルが起きているかもしれません。一度動物病院を受診すると安心です。

  • 頻繁な嘔吐:飲み込んだ毛玉(ヘアボール)を吐き戻す回数があまりに多いと、トラブルが起こっている可能性があります。
  • 便秘や食欲不振:毛玉が腸内に詰まり、便の排出を妨げている可能性があります。
  • 咳のような仕草:毛玉を吐き出そうとして「ケホケホ」といった咳のような仕草を頻繁に見せることがあります。

2. 換毛期ではなく病気の可能性を示すサインがないか

抜け毛が多く、以下のサインがみられる場合は、単なる換毛ではなく皮膚病やアレルギーなどの病気が隠れている可能性もあります。念のため動物病院を受診しましょう。

  • 部分的な脱毛:体の左右対称ではなく、特定の場所だけ集中し毛が抜けている。
  • 皮膚の異常:脱毛している部分の皮膚が赤く腫れている、ただれている、フケが多い、かゆがっている。
  • 過剰な毛づくろい:舐めすぎて皮膚がただれていたり、毛が切れて薄くなっていたりする。

猫の換毛期に関する相談はオンラインでも

秋の換毛期は猫にとって自然なことですが、抜け毛が多すぎたり、皮膚の状態がいつもと違ったりして、「これは正常な換毛期?それとも病気?」と判断に迷うことがあるかもしれません。気になることがあるときは早めに動物病院を受診するのが安心ですが、猫を病院につれていくのはなかなかハードルが高いですよね。
そんなときは、ペットのオンライン診療アプリ「ペットドクター」が便利です。自宅からビデオ通話で獣医師と繋がり、愛猫の様子を見せながら診察を受けることができます。困ったときはひとりで悩みすぎず、専門家への相談も検討してみてくださいね。