愛猫が耳をしきりにかいたり擦りつけたりしていると、動物病院で受診した方が良いのか、自宅で必要なケアはあるのかなど悩むことがあるかもしれませんね。こちらの記事では、猫が耳を痒がっているときの原因や受診の目安、自宅でのケア方法などをご紹介します。

猫が耳を痒がるときに考えられる原因は？

猫が耳をしきりに掻いたり痒がっていたりするときは、下記のような原因でトラブルが起こっている可能性があります。

細菌や真菌による外耳炎

細菌や真菌などが耳の中で増殖することによって外耳炎が起こり、耳を痒がることがあります。細菌や真菌は健康な猫の体内にも存在しますが、抵抗力が落ちたり耳に湿気が溜まったりすると異常に増殖して、炎症を起こすことがあります。

耳ダニの寄生による外耳炎

耳ダニというダニに感染することによっても外耳炎が起こり、痒みが出ることがあります。親猫から子猫に感染したり、感染している他の猫との接触で感染したりします。黒い耳垢が大量に出てくるのが特徴です。

アレルギー性皮膚炎

特定の食べ物やホコリ、ハウスダストなどのアレルゲンによって、皮膚がアレルギーを起こし痒みが出ることがあります。
耳だけでなく、目や口の周り、顔などにも症状が現れる場合があります。

異物混入

自分の抜け毛や砂などの異物が耳の中に入って引っかかると、痒みや違和感が生じてを耳をしきりにか掻くことがあります。異物の種類によっては、耳の中が傷ついて炎症が起こり、痒みが出る場合もあります。

耳道内腫瘍

まれではありますが、耳の中に腫瘍ができると、耳垢の排出がうまくいかなくなったり耳に炎症が起こったりして、痒みが出ることがあります。

耳が痒いときに猫が見せるサイン例

猫の耳に痒みがあるときは、足で耳をかく以外にも、様々なサインを見せることがあります。愛猫に下記のような様子が見られるときは、痒みの症状がある可能性があります。

• 壁や床に耳を擦り付ける
• 頭を何度も振る
• 顔を傾ける
• 耳を触られるのを嫌がる

耳の痒みが起こりやすい猫種

どの種類の猫でも耳が痒くなる可能性はありますが、特に折れ耳の猫、反り耳の猫、耳の毛が長い猫は、耳の通気性が悪く湿気が溜まりいやすいため、 炎症が起こって痒みが出やすいです。それぞれ下記のような猫種があげられます。

折れ耳の猫

• スコティッシュフォールド
• マンチカン

反り耳の猫

• アメリカン・カール

耳の毛が長い猫

• メインクーン
• ペルシャ
• ラグドール
• サイベリアン
• ソマリ
• ノルウェージャンフォレストキャット
• ヒマラヤン

猫が耳をかいたり痒がったりするときの受診目安

前述の通り猫が耳をかいたり痒がったりするときは、トラブルが起こっている可能性が高いです。

「耳が痒いときに猫が見せるサイン例」でご紹介した下記のような様子が見られる場合は、できるだけ早く動物病院を受診するようにしましょう。

• 手足で耳をしきりにかこうとする
• 壁や床に耳を擦り付ける
• 頭を何度も振る
• 顔をが傾けるいている
• 耳を触られるのを嫌がる

猫が耳を痒がるときのNG行動

猫が耳を痒がっているときに下記のような行動をするのはやめましょう。症状が悪化するおそれがあります。

症状を放置する

愛猫が耳を痒がっているときは、放置しないようにしましょう。適切な対処をせずそのままにしていると、症状が悪化したり治療の期間が長引いたりしてしまうおそれがあります。
気になる様子がある場合は、できるだけ早く動物病院で診てもらえると安心です。

強く擦る

愛猫が耳を痒がっているときは耳に汚れが溜まっていることが多いですが、汚れを取ろうとして強く擦らないようにしましょう。耳に傷がついて炎症がひどくなる可能性があります。
耳の表面の汚れを、湿ったコットンなどで優しく拭きとるだけなら問題ありません。

綿棒を使って奥まで掃除する

耳を痒がっていて耳垢が溜まっているときに、綿棒を使って耳の奥まで掃除をするのはやめましょう。
耳垢をさらに奥に押し込んでしまったり、耳が傷ついて炎症がひどくなったりするおそれがあります。

猫が耳をかいたり痒がったりするときのケア方法

愛猫が耳を痒がっている場合は、自宅で下記のようなケアを行いましょう。

こまめな耳のチェック

愛猫が耳を痒がっているときは、できるだけ毎日耳の中をチェックをするようにしましょう。赤みやにおい、耳垢の状態がひどくなっていないか確認し、心配なことがある場合は早めに動物病院で診てもらうと安心です。

汚れを優しく拭き取る

耳の中に汚れがある場合は、洗浄液を染み込ませたガーゼやコットンで優しく汚れを拭き取ります。奥の方の汚れまで無理に取ろうとせず、目に見えている範囲の汚れだけを拭き取るようにしてください。

点耳薬の投与

耳の痒みで動物病院を受診すると、抗菌薬や駆虫薬を処方されることがあります。その場合は獣医師の指示に従って、用法用量を守って投与するようにしてください。

エリザベスカラーを着ける

耳を痒がっていて動物病院を受診すると、患部を掻いてしまうのを避けるためにエリザベスカラーの着用を指示される場合があります。
エリザベスカラーを着けると、カラーが邪魔で食事や水飲み場に届きにくくなったり、距離感がいつもと違って家具にぶつかったりすることがあります。
食事や水の容器を台に乗せて口元に届きやすくしたり、家具を動かしたりして、生活しやすいようにサポートしてあげましょう。

アレルゲンを避ける

アレルギーが原因で耳の痒みが出ている場合は、おやつやフードのアレルゲン除去を徹底する、寝具やカーペットを洗濯する、こまめに部屋の掃除をするなどして、できるだけアレルゲンを避けるようにしましょう。

猫の耳の痒みを予防するには？

猫の耳の痒みを予防するためには、下記のような方法があります。

こまめな耳のチェック

健康なときでも、少なくとも週に1回、愛猫が外耳炎になったことがある場合は週2〜3回ほど、耳の中をチェックするようにしましょう。

耳の色、におい、耳垢の色や状態に変化がないか、しっかりと確認するようにしてください。

汚れを拭き取るケア

耳に汚れがある場合は、洗浄液を染み込ませたガーゼやコットンで拭き取りましょう。このときに奥の方まで汚れを取ろうとしたりゴシゴシ擦ったりせず、目に見える範囲の汚れだけを優しく拭き取るようにしてください。

耳の毛のカット

耳の毛が長かったり多かったりすると、通気性が悪くなるため炎症が起こり、痒みが出やすくなります。愛猫の耳の毛が長い場合は、動物病院やトリミングサロンでカットしてもらうと良いでしょう。

アレルゲンの除去

耳の中をケアして清潔な状態を保っているにもかかわらず痒みを繰り返す場合は、アレルギーが原因の可能性があるため、アレルギー検査を受けるのも一つの方法です。

アレルゲンがわかったら、フードやおやつをアレルゲン除去のものにする、こまめに掃除をするなどして、できるだけアレルゲンを避けるようにしましょう。

外に出さない

外に出る機会がある猫は、室内で生活する猫に比べて耳ダニに感染しやすくなったり、異物が入りやすかったりするため、耳の痒みが出やすいです。
耳の痒みを予防するためにはできるだけ外には出さず、家の中だけで生活させるのが良いでしょう。

猫の耳に関する相談はオンラインでも

愛猫の耳の様子がいつもと違うときは、できるだけ早く獣医師に診てもらえると安心ですよね。そんなときはペットのオンライン診療アプリ「ペットドクター」が便利です。家にいながらスマホのアプリで獣医師の診察を受け、必要な対処法を教えてもらうことができます。獣医師が必要と判断した際には薬を処方してもらうことも可能です。困ったときは利用を検討してみてくださいね。