猫も熱中症に注意!症状や対策、受診の目安
猫の病気

2025年8月13日

暑くなるとよく耳にする「熱中症」。室内飼いの猫でも熱中症になることがあるのでしょうか?この記事では猫の熱中症の症状や応急処置方法、予防方法など、猫の熱中症の基本情報を詳しく解説します。

熱中症とは?猫もなるの?

熱中症とは、気温や湿度の高い環境に長時間いることで体が適応できなくなり、体温調節機能がうまく働かなくなることで起こる様々な症状や状態のことです。

人間と同じように、猫も熱中症になることがあります

猫は犬と比べると比較的暑さに強いですが、湿度が高い環境に弱いという特徴があります。また猫は汗をかくのが鼻と肉球からだけだったり、犬のようにハッハッと口呼吸ができなかったりと、もともと備わっている体温調節機能も高くありません。そのため今の日本のような高温多湿な環境下では、熱中症になる可能性が十分にあるのです。

特に熱中症になりやすい猫種

どの種類の猫でも熱中症になることはありますが、特に下記の猫種や特徴を持つ猫は熱中症のリスクが高まります。

短頭種

鼻がぺちゃっとしているペルシャ、エキゾチックショートヘア、ヒマラヤン、チンチラといった短頭種の猫は、鼻の空気の通り道が狭いため呼吸がしづらく、他の猫よりもさらに体温調節が苦手です。体内の熱をうまく外に出せず、熱中症になりやすいといえるでしょう。

長毛種

毛が長いメインクーンやペルシャ、スコティッシュフォールド、ラグドールなどは、毛によって熱が閉じ込められやすく、他の猫に比べて注意が必要です。

肥満気味の猫

肥満で皮下脂肪が多くついている猫は注意が必要です。皮下脂肪は体内の熱を外に逃さないようにする断熱材のような働きがあるため、体内に熱がこもりやすく、熱中症のリスクが高まります。

子猫やシニア猫、持病がある猫

子猫やシニア猫は、成猫に比べて体温調節機能が弱く、熱中症のリスクが高まります。また加齢や持病の影響で体力が少ない、循環機能や呼吸機能が低下しているといった場合も、熱中症に特に注意が必要です。

猫の熱中症の症状

猫はもともと体調不良をあまり見せたがらないため、熱中症になっても飼い主が気づきにくいという特徴があります。しかし熱中症は早期発見と治療が大切なので、症状を理解し、日頃からよく観察するようにしておきましょう。

猫の熱中症の初期(軽度)症状

  • 元気がない
  • 落ち着きがない
  • 食欲がない
  • 体が熱い
  • 心拍が早い
  • よだれが出ている
  • 目や口が赤くなる

猫の熱中症の中等度の症状

  • 嘔吐や下痢をしている
  • 犬のように口を開けてハッハッと短い呼吸をしている(パンティング)
  • フラフラしている

猫の熱中症の重度の症状

  • 口の中や舌が青紫色(チアノーゼ)
  • ふるえ、痙攣
  • 意識がない

猫の熱中症で受診する目安

先にご紹介した中等度または重度の症状が見られるときは、迅速に動物病院を受診してください。夜間や土日でもすぐに救急動物病院を受診しましょう。軽度の症状だった場合も、受診すると安心です。かかりつけの動物病院に連絡し、指示を仰ぐのもいいでしょう。
また受診までの間は、次にご紹介する応急処置をできる限り行ってください。

猫に熱中症が疑われるときの応急処置方法

愛猫に熱中症の症状が見られたら、速やかに以下の処置を行いましょう。

涼しい場所に移動させる

まずは室内の涼しい場所に移動させてください。クーラーが効いた屋内の日陰で、床やタイルなどひんやりする場所に寝かせましょう。もし屋外で難しい場合は、日陰で風通しのいい場所に移動させます。

体を冷やして体温を下げる

ガーゼやタオルでくるんだ保冷剤を首や脇に当てて冷やしましょう。凍傷になる恐れがあるので保冷剤を直接当てるのはNGです。必ずタオルなどでくるんでください。

水で濡らしたタオルで包んだり、霧吹きで水を吹きかけたりした後に、うちわや扇風機で風を送って体を冷やすのも効果的です。気化熱で体から熱が発散しやすくなります。水を嫌がらない場合は直接水をかけたり、水風呂に入れたりしてもかまいません。

ただし急激に冷やしすぎると、血管が収縮して体内の熱い血液が全身に巡り、逆効果になることもあります。また体温が下がりすぎると低体温状態に陥ることもあり危険です。冷たい水を大量にかけたり、氷や保冷剤を全身に何個も当てたりするのはやめましょう。

水を飲ませる

水が飲めるのであれば飲ませましょう。一気に飲ませると誤嚥の恐れもあるため、少しずつこまめに飲ませます。飲みたがらない場合は無理に飲ませる必要はありません。速やかに病院を受診しましょう。

猫が熱中症になりやすいのはどんなとき?

猫が熱中症になりやすいのは以下のようなシチュエーションです。室内飼いの猫でも熱中症になることがあるので、十分気をつけましょう。

  • 暑い季節のエアコンが効いていない室内
  • 暑い季節のエアコンの効いていない車の中
  • 暑い季節のキャリーケースでの移動
  • クローゼットなど狭い場所に気づかないまま閉じ込めてしまう
  • 直射日光の当たるところに長時間いる

    猫の熱中症を防ぐ!対策方法6選

熱中症は重度になると命の危険もあるものなので、できる限り予防することが大切です。ここからは、愛猫の熱中症を防ぐために日頃から自宅でできる対策をご紹介します。

室内の温度と湿度を管理する

エアコンや扇風機を使ったり、窓を開けたりして、温度と湿度を管理しましょう。猫が快適に暮らせる温度は一般的に21~28度、湿度は40~60%程度が目安です。ただし暑さへの耐久度には個体差があります。年齢や体調によっても適切な温度は異なります。愛猫の様子をみながら調整してあげましょう

また扇風機には体を挟んでしまう危険性、窓を開けると脱走の危険性もあります。くれぐれも安全を確保したうえで管理しましょう。

留守番のときもエアコンをつける

飼い主が外出していて猫だけで留守番しているときも、必ずエアコンを付けるようにしてください。先にご説明した室温や湿度が保てるように調整しておきましょう。

また愛猫が遊んでいるうちにリモコンを踏んでしまわないように、リモコンは引き出しの中などにしまっておくと安心です。

涼しく過ごせる場所を用意する

エアコンを付けるだけでなく、アルミ板やタイル、大理石、冷却ジェルシートなどをお気に入りの場所に起き、体を冷やせるようにしてあげましょう。また日差しが場合はカーテンをしっかり締めたり、すだれを使ったりして、日陰を作ってあげてください

エアコンを切った車内に放置しない

動物病院への通院などで車に乗せる場合は、たとえ少しの時間だけでも、エアコンを切った車の中に愛猫を放置しないようにしてください

JAFが行ったテストによると、8月の外気温35度の状態でエンジンを停止すると、30分後には車内温度が45度まで上昇したそうです。この暑さは窓を開けたとしてもほぼ変わらず、危険です。愛猫を車に残すときは必ず日陰に駐車し、エアコンを付けておきましょう

水を数か所に設置する

新鮮で清潔な水をいつでも飲めるように、水を数か所に設置しておきましょう。1箇所だと、水が汚れたり猫がこぼしてしまったりするリスクがあります。留守番させるときは、必ず水を十分にいれてから出かけましょう

しっかりブラッシングしておく

しっかりブラッシングして、冬毛を取り除いておきましょう。それだけで通気性が良くなり、熱がこもりにくくなります。特に長毛種の猫は、毎日のケアを欠かさないようにしてください。

猫の熱中症の相談はオンラインでも

近年の夏はかなり暑く、対策しても熱中症になってしまうこともあります。熱中症かの判断に迷うときや、ホームケア方法に悩むときは、ペットのオンライン診療アプリ「ペットドクター」が便利です。自宅からスマートフォンのビデオ通話を通じて、愛猫の健康や体調について獣医師に相談することができます。ダウンロードは無料なので、お守りとして持っておくのも安心です。