2025年8月15日

気持ちよさそうに日なたでうとうとしている愛猫の愛らしい姿の裏に、見過ごされがちなのが日焼けのリスクです。室内で過ごす猫も、人間と同じように日焼けすることがあります。そこでこの記事では、日焼けが猫にもたらす影響や日焼けの症状、予防方法などを解説します。
そもそも日焼けとは?猫も対策が必要?
日焼けは、太陽から降り注ぐ紫外線(UV)によって皮膚がダメージを受ける現象です。
日焼けというと肌が小麦色に焼けるだけというイメージを持っている人も多いと思いますが、実は日焼けは軽度のやけどです。将来のシミやシワの原因になったり、皮膚がんのリスクを高めたりすることも知られています。
日焼けによって上記のようなダメージを負うのは人間だけでなく、猫も同じです。そのため人間と同じ用に、猫も日焼け対策が必要と言えるでしょう。
猫の日焼けの症状と見分け方
猫が日焼けをすると、次のような症状が現れます。ただし猫は体調不良を隠そうとするので、日焼けで体に不調が出てもなかなか表に出そうとしません。見た目や行動の変化を観察して判断しましょう。
皮膚の赤みや水ぶくれ
人間と同じように、猫も日焼けによって皮膚が赤くなることがあります。炎症を起こして、ひどい場合は水ぶくれができたり、皮膚が剥がれたりすることもあります。特に症状が現れやすいのは、毛に覆われていない目の周りや耳、鼻などです。
体をかゆがる
日焼けによって皮膚が炎症を起こすと、体にかゆみが出ることもあります。いつもよりしきりに掻く、舐る、噛むといった素振りが見られるときは、日焼けで炎症が起きている可能性があります。
皮膚のただれやかさぶた(日光皮膚炎)
猫の日焼けで特に注意が必要なのが、日光に過敏に反応して起こる日光皮膚炎(光線過敏症)です。体質的に光に敏感だったり、特定の薬剤を摂取していたりする猫に現れやすい皮膚炎で、直射日光(紫外線)を浴びることによって症状が悪化します。
日光皮膚炎になると、耳の先端、鼻の頭、まぶたの縁など、毛が薄く色素の薄い部分が赤くただれたり、かさぶたができたり、毛が抜けたりするのが特徴です。初期段階で治療すれば軽い炎症で済みますが、放置すると慢性化して、皮膚が厚くなったり色素沈着が進んだりします。さらには、皮膚がんへと進行するリスクが高まります。
猫の場合、特に「扁平上皮癌」といった悪性腫瘍は紫外線との関連が指摘されており、長期的に直射日光にさらされるのは良くありません。
目がしょぼしょぼする、涙が多い
日焼けは目にもダメージを与えます。角膜炎や結膜炎を引き起こすほか、白内障のリスクを高める可能性もあります。目をしょぼしょぼさせる、涙が多い、目をこするなどの様子が見られたら注意が必要です。
日焼けしやすい猫種
全ての猫に日焼けのリスクがありますが、以下のような特徴を持つ猫は特に注意が必要です。
白い被毛の猫や皮膚の色が薄い猫
白い被毛を持つ猫や、色素が薄くピンク色の皮膚を持つ猫は、メラニン色素が少ないため紫外線を吸収しきれず、日焼けによるダメージを受けやすい傾向があります。
毛の短い猫や被毛が薄い猫
アメリカンショートヘア、ブリティッシュショートヘア、ロシアンブルーなどの毛が短い猫種や、スフィンクスのようにほとんど毛がない猫種は、皮膚が紫外線に直接さらされやすくなるため、日焼けしやすい傾向にあります。
高齢猫や病気などで免疫力が低下している猫
加齢や病気により皮膚のバリア機能や免疫力が低下している猫は、紫外線の影響を受けやすくなります。
猫が日焼けしやすい部位
猫の体の中で特に日焼けしやすいのは、以下のような毛が薄く、紫外線に直接当たりやすいデリケートな部分です。思いがけず日焼けしてしまうこともあるので、注意しましょう。
- 耳の先端や縁
- 鼻の頭
- まぶたや目の周り
- お腹や内股
猫が日焼けしやすい状況
猫が日焼けしやすいシチュエーションには次のようなものがあります。
長時間の窓際での日向ぼっこ
日向ぼっこは猫にとっての至福のひとときですが、紫外線が強い春〜夏にかけては日焼けのリスクもあります。窓ガラスは紫外線をある程度カットしてくれますが、全てを防ぎきることはできません。そのため窓越しであっても紫外線が届き、日焼けすることがあるのです。
お気に入りの場所の日当たりがよく、窓越しでも直射日光が当たる場合は、注意が必要です。
外出・屋外の散歩
屋外に出ると室内よりも直射日光を浴びる機会が多くなり、日焼けのリスクが高まります。夏の暑い時期は、日焼けだけでなく熱中症のリスクもあります。
日中のベランダや庭での日光浴
外出するまではなくても、ベランダなど直射日光が当たるところで過ごす習慣がある場合も、日焼けのリスクが高まります。
猫の日焼けの予防方法
先にご説明した通り、日焼けは猫の体に様々なリスクをもたらします。大切な愛猫を守るために、以下のような方法で日焼けを予防しましょう。
UVカットカーテン・フィルムを活用する
窓から差し込む日差しには紫外線が含まれています。愛猫のお気に入りの場所の近くの窓や、南向きの窓には、UVカットフィルムを張ったりUVカットカーテンを活用したりして、室内に入ってくる紫外線の量を減らす工夫をしましょう。
日向ぼっこエリアを工夫する
窓際で日向ぼっこをするのが好きな猫には、直射日光が当たり続けないように、日陰ができる場所も用意してあげましょう。キャットタワーの配置を工夫したり、日差しが強い時間帯は別の場所へ誘導したりしてください。
屋外に出さない
愛猫を屋外に出す習慣がある場合、紫外線が強くて暑い夏はできるだけ屋外に出さないようにしましょう。屋外に出ないとどうしても愛猫のストレスが溜まるような場合は、日中の日差しが強い時間帯(特に午前10時から午後2時頃)を避けてください。
猫用UVケアグッズを使う
最近では、UVカット機能のある猫用ウェアなども販売されています。特に毛が薄い猫や、術後などで皮膚がデリケートな場合に活用を検討してみてもいいかもしれません。
ただし愛猫が嫌がる場合は無理に着用させず、ストレスにならない範囲で取り入れることが大切です。
猫用日焼け止めを使う
獣医師に相談した上で、猫用の安全な日焼け止めを使用するのもいいでしょう。全身に塗り広げるというよりは、特に紫外線に当たりやすい耳の先端、鼻の頭、まぶたなど、毛が薄くデリケートな部分に少量塗布します。
ただし人間用の日焼け止めを猫に使うのは絶対にNGです。猫は毛づくろいをする習性があるため、舐めても安全な成分で作られている製品を選ぶことが非常に重要です。
人間用の日焼け止めは、猫にとって有害な成分が含まれている場合があるため、必ず「猫用」と明記された製品を選んでください。
サマーカットをしすぎない
毛が多い猫などは、暑い季節を乗り切るために毛を短く切る「サマーカット」を施す場合があるかもしれません。しかし猫の被毛は紫外線から皮膚を守る大切な役割を担っています。毛が短すぎると皮膚が直接紫外線にさらされ、日焼けのリスクが高まる可能性があります。
サマーカットをしたい場合は獣医師やトリマーとよく相談して、短くなりすぎないようにしましょう。
猫が日焼けしてしまったらどうする?受診の目安と応急処置
もし愛猫が日焼けして皮膚や行動に異常が見られる場合は、慌てずに以下のような対応を取りましょう。必要であれば動物病院で受診してください。
猫の日焼けの応急処置方法
・冷やす
日焼けで肌に異常が見られる場合は、濡らしたタオルや、タオルで包んだ保冷剤などで、日焼けした部分を優しく冷やしましょう。ただし冷やしすぎも良くないので、保冷剤を直接肌に当てるのはNGです。
・刺激を与えないようにする
日焼けした皮膚は非常にデリケートですが、猫は気になって掻いたり舐めたりすることもあります。強く触ったり掻いたりしないよう、可能な限り注意して見守りましょう。過度な毛づくろいもできれば避けたいところです。
猫の日焼けの受診目安
以下のような症状が見られた場合は、早めに動物病院を受診してください。自己判断で市販薬を塗ったりせず、必ず獣医師の指示を仰ぎましょう。
- 皮膚の赤みがひどい
- 水ぶくれやただれ、痛みが続く
- 食欲不振、元気がない、ぐったりしている、呼吸が荒いなど全身症状がある
- 症状が改善しない、または悪化する
- 皮膚にしこり、変色、慢性的な炎症など、長期的な影響を疑う変化がある
- 目をしょぼしょぼさせる、涙が多い、目が濁っている
猫の日焼けに関する相談はオンラインでも
近年の夏は紫外線が非常に強く、気をつけていても愛猫が日焼けしてしまうことがあるかもしれません。「もしかして日焼けかな?」と思っても、猫を動物病院につれていくのはなかなかハードルが高いという過程も多いですよね。
そんなときはペットのオンライン診療アプリ「ペットドクター」が便利です。自宅からビデオ通話で獣医師の診察を受けることができます。困ったときはぜひ検討してみてくださいね。