犬の熱中症に注意!症状や対策、受診の目安
犬の病気

2025年8月13日

暑くなると心配なのが熱中症です。犬は暑さを言葉で伝えることができないので、飼い主がいつも以上に観察して対策してあげることが大切ですよ。この記事では犬の熱中症について、症状や応急処置方法から、予防するための対策まで、詳しくご説明します。

熱中症とは?犬もなるの?

熱中症とは、気温や湿度の高い環境に体が適応できず、体温調節機能がうまく働かなくなって、体内に熱がこもることで起こる様々な症状や状態のことです。

人と同じように、犬も熱中症になることがあります。むしろ犬は体を毛でおおわれていて、体の一部からしか汗をかけないため、暑さに弱くて熱中症になりやすいといえます。

特に熱中症になりやすい犬種や特徴

どの犬種でも熱中症になることはありますが、特に下記の犬種や特徴を持つ犬は熱中症のリスクが高く、注意が必要です。

短頭種

犬は呼吸によって体温調節を行いますが、パグ、フレンチブルドッグ、ボストンテリア、ブルドッグ、シーズー、ペキニーズなどの短頭種は、鼻(マズル)が短く呼吸がしづらいため、体内の熱をうまく外に出せず、熱中症になりやすい傾向にあります。

寒冷地出身や毛が厚い犬種

寒い地域出身(北方原産)の犬種は、寒さに強く暑さに弱い傾向にあります。またダブルコートの犬などの厚い被毛はもともと冬の寒い環境下で熱を内側に溜めて体温を維持するためのものなので、逆に暑い環境下では熱を外に逃しにくく、体温調節が難しくなってしまいます。

秋田犬、シベリアンハスキー、サモエド、ポメラニアン、ボルゾイ、グレートピレニーズなどは注意しましょう。

毛色が黒い犬

そもそも黒い色は熱を吸収しやすい傾向にあり、人間も熱中症予防のためには黒い服を避けることが推奨されています。黒い色の毛を持つ犬は日光の熱を吸収して体温が上がりやすくなるため、どの犬種でも注意が必要です。

肥満気味の犬や気管支狭窄の犬

肥満気味で首の周りに脂肪がついている犬や、気管支狭窄(気管や気管支が細い)の犬は、気管が圧迫されて呼吸がしづらくなるため、体温調節が難しくなり、熱中症のリスクが高まります。

また肥満で皮下脂肪が多くついている犬はさらに注意が必要です。皮下脂肪は体内の熱を外に逃さないようにする働きがあるため、体内に熱がこもりやすくなってしまいます。

子犬やシニア犬、持病がある犬

子犬やシニア犬は、成犬に比べて体温調節機能が弱く、熱中症のリスクが高まります。また加齢や持病の影響で体力が少ない犬や、循環機能や呼吸機能が低下している犬も、熱中症に特に注意が必要です。

犬の熱中症の症状は?

犬が熱中症になると以下のような症状が現れます。熱中症は重症化すると命の危険もあるため、できるだけ早い段階で気づいてあげることが大切です。

犬の熱中症の初期症状

  • パンティング(ハッハッという激しい口呼吸)が通常より激しい
  • 心拍数が早い
  • 体が熱い
  • 体温が高い
  • 口の中や舌が赤い
  • 目が充血している
  • よだれが多い
  • 横になって動きたがらない
  • フラフラしている
  • ぐったりしている

犬の熱中症の危険な症状

  • 口の中や舌が青紫色(チアノーゼ)
  • 嘔吐や下痢
  • 体温が下がる
  • ふるえ、痙攣
  • 意識がない

犬の熱中症で受診する目安

熱中症は、症状が出てから90分以内に治療を始めることが大切だと言われています。先にご紹介した熱中症の症状が見られたら、速やかに受診しましょう

かかりつけの動物病院に連絡し、指示を仰ぐのもいいすが、危険な症状が見られる場合は、夜間や土日でもすぐに救急動物病院を受診してください。

また受診までの間は、次にご紹介する応急処置をできる限り行ってください。

犬に熱中症が疑われるときの応急処置方法

愛犬に熱中症が疑われる症状がみられたら、速やかに以下の処置を行ってください。

涼しい場所に移動させる

涼しい場所に移動して寝かせてください。できるだけクーラーが効いた屋内に移動させられると良いですが、屋外で難しい場合は日陰で風通しのいい場所に移動させましょう

体を冷やして体温を下げる

全身に常温の水をかけたり、水で濡らしたタオルで包んだりしたあと、うちわや扇風機で風を送って体を冷やしてください。気化熱で体から熱が発散しやすくなります。

ここで注意が必要なのが、急激に冷やしすぎてはいけないということです。急激に冷やすと血管が収縮して体内の熱い血液が全身に巡り、体の深部に熱がこもったままになってしまいます。また体温が下がりすぎると低体温状態に陥ることもあります。

冷たい水を大量にかけたり、氷や保冷剤を全身に直接あてたりするのはNGです。

水を飲ませる

水が飲めるのであれば飲ませましょう。経口補水液などがあれば、体内への水分の吸収がよいのでおすすめできます。飲まない場合は無理に飲ませる必要はありません。

犬が熱中症になりやすいのはどんなとき?

犬が熱中症になりやすいのは以下のようなシチュエーションです。前述の通り、熱中症は高温多湿の環境下で起こります。また「温度はさほど高くないが、湿度が高い環境」も危険です。

  • 暑い季節のエアコンが効いていない室内
  • 暑い季節のエアコンの効いていない車の中
  • 暑い時間の外出、お散歩、運動
  • 暑い季節の外飼い

犬の熱中症を防ぐ!対策方法9選

前述の通り熱中症は命の危険もあるものなので、できる限り予防することが大切です。ここからは、熱中症を防ぐために日頃からできる対策をご紹介します。

室内の温度と湿度を管理する

エアコンや扇風機を使ったり、窓を開けたりして、温度と湿度を管理しましょう。犬が快適に暮らせる温度は一般的に25~28度、湿度は40~60%程度が目安です。

ただし先にご説明した通り犬種や年齢によっては特に暑さに弱いこともありますし、体調によっても適切な温度は異なります。愛犬の様子をみながら調整してあげましょう。

留守番のときもエアコンをつける

飼い主が外出していて、愛犬だけで留守番しているときもエアコンを付けておきましょう。先にご説明した室温や湿度が保てるようにしてください。またエアコンのリモコンを愛犬の手が届かないところに置くことも大切です。知らないうちにリモコンを踏んで、OFFにしてしまう可能性があります。

犬が涼しく過ごせる場所を用意する

エアコンを付けるだけでなく、アルミ板やタイル、大理石など、冷たくて体を冷やせる場所を用意してあげましょう。市販のひんやりするマットやプレートもいいですね。

また日差しが強い部屋はカーテンをしっかり締めて、日陰を作ってあげましょう

散歩は早朝か夜、日が出ていない時間帯に

暑い季節のお散歩は、できるだけ早朝か夜の比較的涼しい時間帯に行いましょう。

また気温だけでなく、地表の熱さにも注意が必要です。夏のアスファルトは60度を超えることもあります。散歩に行く前に飼い主が手で触れてみて、犬にとって歩ける熱か確認してみましょう
少し日が落ちた夕方頃だとまだ地表が暑すぎることもあるので気をつけてください。朝は5時台、夜は11時以降が目安です。

外出中はこまめな水分補給と体の冷却

散歩やレジャーで外出する際は必ず愛犬用の水を持ち歩き、こまめに水分補給させましょう体に水をかけて冷やしてあげるのもいいですね。扇子や携帯用の扇風機も持っておくと良いでしょう。

屋内で運動できる環境を整える

毎日早朝や夜間に散歩に行くのが難しい場合は、部屋の中で運動できる環境を作ったり、屋内のドッグランに連れて行ったりと、涼しい屋内で体を動かせるよう工夫してみましょう

エアコンを切った車内に放置しない

たとえ少しの時間だけでも、エアコンを切った車の中に愛犬を放置するのはNGです。
JAFが行ったテストによると、8月の外気温35度の状態でエンジンを停止すると、30分後には車内温度が45度まで上昇しました。窓を開けたとしてもほぼ変わらず、かなり厳しい暑さになります。愛犬を車に残すときは必ず日陰に駐車し、エアコンを付けておきましょう

外飼いの犬は家の中にいれる

普段外で飼っている愛犬も、夏はできれば涼しい室内にいれてあげましょう。玄関であっても、外と比べるとひんやりします。

犬小屋を日陰に移動する

室内にいれるのが難しい場合は、犬小屋を日陰に移動させましょう。日陰がない場合はタープなどで日除けを作ってあげます。またアスファルトやコンクリートの上に犬小屋を置くのも避けましょう

犬の熱中症の相談はオンラインでも

犬は熱さに弱く、対策しても熱中症のような症状がみられることがあります。すぐに受診するか迷うときや、ホームケア方法に悩むときは、ペットのオンライン診療アプリ「ペットドクター」が便利です。自宅からスマートフォンのビデオ通話を通じて獣医師に相談することができます。アプリのダウンロードは無料なので、お守りとして持っておくと安心です。