2025年8月13日

日差しが強い季節のお散歩の際、人間が日焼け止めを塗ったり日傘をさしたりするように、愛犬にも日焼け対策は必要なのでしょうか?この記事では、犬に日焼け対策は必要なのかや、日焼けの具体的な症状や予防方法、受診の目安まで詳しく解説します。
そもそも日焼けとは?犬も対策が必要?
日焼けは太陽から降り注ぐ紫外線によって皮膚がダメージを受ける現象で、軽度のやけどです。
人が日焼けすると、ただ肌が小麦色になるだけでなく、シミやシワの原因になったり、皮膚の細胞が損傷して皮膚がんのリスクが高まったりすることが知られています。
日焼けによって上記のようなダメージを負うのは人間だけでなく、犬も同じです。日焼けによって肌トラブルがひどくなり、皮膚炎を起こすこともあります。そのため犬にも日焼け対策が必要です。
犬の日焼けの症状と見分け方
愛犬が日焼けしているかどうかは、見た目の変化や行動で判断できます。
犬の日焼けの症状には以下のようなものがあります。日焼けするシチュエーションの数時間から数日後に現れることもあるため、愛犬の皮膚を日頃からよく観察し、いつもと違う様子があれば注意しましょう。
軽度の日焼け
- 皮膚が赤くなる(特に毛の薄い部分)
- 触ると熱を持っているように感じる
- かゆがる仕草を見せる(体を掻く、舐める)
- 皮膚が乾燥してフケが出る
中度〜重度の日焼け(皮膚炎)
- 赤みがひどく、皮膚がただれている
- 水ぶくれや皮膚の剥がれが見られる
- 触ると痛がる、または触られるのを嫌がる
- 脱毛が見られる
慢性的な影響
- 皮膚が硬く厚くなったり、黒っぽく色素沈着したりする
- しこりやただれなど、皮膚がんを疑うような変化が見られる
日焼けしやすい犬種
全ての犬に日焼けのリスクがありますが、特に以下のような特徴を持つ犬種は日焼けに注意が必要です。
白い被毛の犬や皮膚の色が薄い犬
マルチーズ、ビション・フリーゼ、サモエド、ダルメシアンなどの白い被毛の犬や、色素が薄くてピンク色の皮膚が見えているような犬は、メラニン色素が少ないため紫外線を吸収しきれず、日焼けのダメージを受けやすい傾向があります。
毛の短い犬種や被毛が薄い犬種
フレンチブルドッグ、ボストン・テリア、ミニチュア・ピンシャーなどの短毛種や、スフィンクスのようにほとんど毛がない犬種は、皮膚が紫外線に直接さらされやすく、日焼けのリスクが高まります。
高齢犬や病気などで免疫力が低下している犬
加齢や病気により皮膚のバリア機能や免疫力が低下している犬は紫外線の影響を受けやすく、日焼けによるトラブルが起こりやすくなります。
犬が日焼けしやすい部位
すべての犬種に共通して、体の中でも特に日焼けしやすい部位があります。以下のような毛が薄くて紫外線に直接当たりやすい部分は日焼けしやすいので注意しましょう。
- 鼻の頭
- 耳の先端や縁
- まぶたや目の周り
- お腹や内股
犬が日焼けしやすいのはどんなとき?特に注意が必要な状況
それでは、犬はどのようなときに日焼けしやすいのでしょうか?特に注意が必要な状況を解説します。ここでご紹介するシチュエーションをできるだけ避けるだけでも、日焼け予防になります。
夏の日中の散歩
犬は散歩が大好きで、日課にしている家庭がほとんどかと思いますが、夏の日中、日差しが強い時間帯の散歩は日焼けのリスクが高まります。
特に注意が必要なのは、午前10時〜午後2時までの間です。また紫外線は5月頃から強まるため、真夏だけでなく春から秋頃にかけて注意が必要です。
夏の長時間の日向ぼっこ
家の窓から紫外線の光が入ってくるので、室内にいても日焼けすることがあります。窓際やベランダなど日当たりの良い場所で日向ぼっこをするのが好きだったり、お気に入りの場所の日当たりがよすぎたりする場合は注意が必要です。
アウトドアなど屋外での活動
キャンプなどのアウトドア活動も注意が必要です。気づかないうちに長時間直射日光を浴びてしまっていることがあります。
雪山や水辺
雪面や水面は紫外線を強く反射します。夏の水辺での活動や、冬であっても雪山での遊びには注意が必要です。
犬の日焼けの予防方法
先にご説明した通り日焼けには様々なリスクがあるため、できる限り予防してあげましょう。犬の日焼け対策には以下のようなものがあります。
散歩の時間帯を見直す
夏は日中の日差しが強い時間帯に散歩をするのは避けましょう。
特に午前10時〜午後2時頃は、紫外線量がピークに達します。アスファルトなどの地面からの照り返しも強く、犬の体温が急激に上昇することによる熱中症のリスクも高まります。日差しが強い季節は早朝や夕方以降に散歩に出かけるようにしてください。
春や秋でも、日中の日差しが強い日はできるだけ早朝や夕方以降を選びましょう。
日陰を歩く
早朝や夕方であっても、日差しがある時間に散歩に行く場合はできるだけ日陰を選んで歩かせましょう。公園などでの散歩では、木陰や建物の陰などを通れる散歩コースを組むのもいいですね。
アスファルトなどの照り返しが強い場所は避け、土や草の上を歩かせると、肉球への負担軽減にも繋がります。
UVカットグッズを利用する
最近は、UVカット機能のある犬用のサマーウェアやラッシュガード、帽子、サングラスなどがあります。特に先にご紹介したような日焼けしやすい犬種には有効なので、活用を検討してみてもいいでしょう。
ただし愛犬のストレスにならない範囲で取り入れることが大切です。嫌がる場合は無理に使用せず、他の方法で日焼け対策をしてください。
犬用日焼け止めを使う
獣医師に相談した上で、犬用の安全な日焼け止めを使用するのもいいでしょう。特に紫外線に当たりやすい鼻の頭や耳の縁、お腹、内股など、毛が薄くデリケートな部分に少量塗布します。
ただし、人間用の日焼け止めを犬に使ってはいけません。人間用の日焼け止めには犬にとって有害な成分が含まれている場合があります。必ず「犬用」と明記された製品を選んでください。
サマーカットをしすぎない
夏は暑さ対策として「サマーカット」をするご家庭も多いかもしれません。しかし被毛は紫外線から皮膚を守る大切な役割も担っています。短くしすぎると日焼けのリスクが高まるので、短くしすぎないようにしてください。
獣医師やトリマーと相談し、日焼け対策も考慮したカット方法を検討しましょう。
室内環境を整備する
「家の中にいるから大丈夫」と思いがちですが、実は窓から差し込む日差しには紫外線が含まれています。特に南向きの窓の周りや、日当たりの良い部屋で愛犬が日向ぼっこをする習慣がある場合は注意が必要です。
UVカット効果のあるカーテンやブラインドを活用し、室内に入ってくる紫外線の量を減らしましょう。
犬が日焼けしてしまったらどうする?受診の目安と応急処置
愛犬が日焼けして皮膚や体温に異常が見られる場合は、慌てずに以下のような対応を取りましょう。
犬の日焼けの応急処置
・冷やす
濡らしたタオルや、タオルに包んだ保冷剤などを日焼けした部分にあて、優しく冷やしてあげましょう。ただし冷やしすぎも危険なので、保冷剤を直接肌に当てるのはNGです。
・刺激を与えない
日焼けした皮膚は非常にデリケートです。強く触ったり掻かせたりしないよう注意しましょう。毛づくろいもできれば控えたいところです。必要であればストレスのない範囲でエリザベスカーラーなどを装着し、舐めさせないように対策しましょう。
ブラッシングやシャンプーも症状が落ち着くまでは控えましょう。
・清潔に保つ
日焼けした皮膚はバリア機能が低下しており、細菌感染のリスクがあります。そのため日焼けした部分は清潔に保つよう心がけましょう。
汚れた場合は、ぬるま湯で湿らせた柔らかい清潔なガーゼやコットンで優しく押さえるように汚れを拭き取ります。ゴシゴシ擦らないように気をつけましょう。
犬の日焼けの受診目安
以下のような症状が見られた場合は、早めに動物病院を受診してください。自己判断で市販薬を塗ったりせず、必ず獣医師の指示を仰ぎましょう。
- 皮膚の赤みがひどい、水ぶくれやただれがある
- 痛がっている、触られるのを極端に嫌がる
- 食欲不振、元気がない、嘔吐、呼吸が荒いなど全身症状がある(日焼けだけでなく、熱中症を併発している可能性も考えられます)
- 応急処置をしても症状が改善しない、または悪化する
- 皮膚にしこり、変色、慢性的な炎症など、長期的な影響を疑う変化があった
犬の日焼けに関する相談はオンラインでも
どんなに気をつけていても、近年の夏は紫外線が非常に強く、日焼けしてしまうことがあるかもしれません。「もしかして日焼けで不調が出ているかな?」と思っても、暑いなか病院につれていくのはハードルが高く感じられることもありますよね。
そんなときはペットのオンライン診療アプリ「ペットドクター」が便利です。自宅からビデオ通話を通じて獣医師の診察が受けられます。困ったときはぜひ検討してみてくださいね。