猫も紫外線対策が必要?紫外線が猫に与える影響とは?
猫の病気

2025年8月13日

夏でも猫は室内にいるから、紫外線の影響はないだろう…と思っていませんか?実は室内でも、窓から差し込む日差しなどから猫も毎日紫外線を浴びています。猫は紫外線からどのような影響を受けるのでしょうか?人間と同じように紫外線対策は必要なのでしょうか?この記事では紫外線が猫に与える影響や、猫の紫外線対策などをご説明します。

そもそも紫外線とは?

紫外線は、太陽から降り注ぐ目に見えない光の一種です。地上に届いて健康に影響を与えるのは「UV-A」「UV-B」と呼ばれる2種類の紫外線で、人間の日焼けやシミ、シワなどの原因になります。また長い期間に渡って多量の紫外線を浴びると、皮膚がんのリスクを高めることも知られています。

紫外線は1年中降り注いでいますが、3月頃から量が増え始め、5〜8月にピークを迎えます。1日のなかでは午前10時頃から午後2時頃までが最も強くなり、この時間帯に1日の紫外線量の半分以上が集中して降り注ぐとも言われています。

また雨や曇りの日は晴れの日と比べると紫外線の量が少なくなりますが、完全にゼロになるわけではありません。

猫も紫外線対策が必要?

猫も紫外線対策が必要だと考えましょう。人間と同じように、猫も紫外線による健康被害を受ける可能性があります。

猫は日向ぼっこが好きなので、室内で過ごしていたとしても窓からの紫外線を浴びてしまいます。適切な対策で、紫外線の悪影響から守ってあげることが大切です。先にご説明した紫外線の特徴を考慮すると、春〜夏にかけて、そのなかでも10~14時のあいだは特に注意が必要でしょう。

ここから具体的な影響や対策を詳しくご説明していきます。

紫外線の影響を受けやすい猫種や特徴

どの猫でも紫外線の影響を受けることはありますが、以下の特徴を持つ猫は特に注意が必要です。

白い被毛の猫や皮膚の色が薄い猫

白い被毛を持つ猫(白猫、シャム猫のポイントカラーが薄い部分など)や、色素が薄くピンク色の皮膚が見えているような猫は、メラニン色素が少ないため紫外線を吸収しきれず、ダメージを受けやすい傾向にあります。特に耳の先端、鼻、まぶたなど、毛も色素も薄い部分は注意が必要です。

毛の短い猫や被毛が薄い猫

スフィンクスのようにほとんど毛がない猫種は、皮膚が紫外線に直接さらされやすいため、紫外線の影響を受けやすくなります。

日向ぼっこが好きな猫

窓際など日当たりの良い場所で長時間日向ぼっこをするのが好きな猫は、日常的に紫外線を浴びる量が多くなるため注意が必要です。

外に出る猫(外飼いや散歩する猫)

外で過ごす時間の長い猫は直射日光を浴びる機会が多いため、紫外線の影響を非常に受けやすいです。

高齢猫や病気などで免疫力が低下している猫

加齢や病気により免疫力が低下している猫は、皮膚のバリア機能が弱まり、紫外線の影響を受けやすくなっています。

紫外線が猫に与える影響とは?

紫外線は、猫の体に以下のような悪影響を及ぼす可能性があります。

日焼け・日光皮膚炎(光線過敏症)

人間と同じように、猫も紫外線を浴びすぎると日焼けします。それによって皮膚が赤くなったり、炎症を起こしたり、ひどい場合は水ぶくれができたり、皮膚が剥がれたりすることもあります。かゆみやフケといった皮膚トラブルの原因になることもあります。

特に注意が必要なのが、日光に過敏に反応して起こる日光皮膚炎(光線過敏症)です。特定の薬剤を摂取していたり、体質的に光に敏感だったりする猫に現れやすい皮膚炎で、紫外線に直接さらされることによって症状が悪化します。

日光皮膚炎になると、耳の先端、鼻の頭、まぶたの縁など、毛が薄く色素の薄い部分が赤くただれたり、かさぶたができたり、毛が抜けたりします。初期段階では軽微な炎症ですが、放置すると慢性化し、皮膚が厚くなったり、色素沈着が進んだりするだけでなく、皮膚がん(特に扁平上皮癌)へと進行するリスクが高まります。

皮膚がんリスクの増加

慢性的に多量の紫外線を浴び続けると、猫も皮膚がんの発症リスクが高まります。特に、扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)といった悪性腫瘍は、紫外線との関連が指摘されています。猫の場合、特に耳の先端、鼻の頭、まぶたなど、毛が薄く色が白い部分にできやすい傾向がります。

目の病気

紫外線は猫の目にもダメージを与えます。角膜炎や結膜炎を引き起こすほか、白内障のリスクを高める可能性もあります。

熱中症

強い日差しを浴び続けると、屋内であっても熱中症のリスクが高まります。特に、窓際での長時間の日向ぼっこや、風通しの悪い室内で直射日光を浴び続けることは危険です。猫は汗腺が少なく体温調節が苦手なため、紫外線と同時に熱中症にも十分な注意が必要です。

愛猫を紫外線から守るための対策7選

ここまで紫外線の様々なリスクをご説明してきましたが、これらのリスクは対策をすれば防げるものです。適切な紫外線対策を行い、大切な愛猫を守ってあげましょう。猫の紫外線対策には以下のようなものがあります。

UVカット効果のあるカーテンを使用する

家のなかでも、窓から差し込む日差しには紫外線が含まれています。特に南向きの窓や、日当たりの良い部屋で愛猫が日向ぼっこをする習慣がある場合は注意が必要です。UVカット効果のあるカーテンやブラインドを活用し、室内に入ってくる紫外線の量を減らす工夫をしましょう。

猫が落ち着く場所を調整する

愛猫のお気に入りの場所が窓際の場合は、日陰にも落ち着ける場所を用意してあげましょう。キャットタワーの配置を工夫したり、日差しが強い時間帯は別の場所へ誘導したりするのもいい方法です。

猫用のUVカットグッズを使用する

最近では、UVカット機能のある猫用ウェアや、エリザベスカラーのように使える顔周りのガードなどもあります。特に毛が薄い部分や、術後などで皮膚がデリケートな場合には、活用を検討してみてもいいかもしれません。
ただし愛猫が嫌がる場合は無理に着用させず、ストレスにならない範囲で取り入れることが大切です。

猫用日焼け止めを使用する

獣医師に相談した上で、猫用の安全な日焼け止めを使用するのもいいでしょう。特に紫外線に当たりやすい耳の先端、鼻の頭、まぶたなど、毛が薄くデリケートな部分に少量塗布するのが一般的です。

猫は毛づくろいをする習性があるため、舐めても安全な成分で作られている製品を選ぶことが非常に重要です。人間用の日焼け止めは猫にとって有害な成分が含まれている場合があるため、絶対に愛猫に使うのはやめましょう。必ず「猫用」と明記された製品を選んでください。

サマーカットをしすぎない

被毛は紫外線から皮膚を守る大切な役割も担っています。特に毛の短い猫種や、皮膚の色素が薄い猫の場合は、皮膚が直接紫外線にさらされるのを防ぐため、毛を短くしすぎないよう注意が必要です。
獣医師やトリマーと相談し、紫外線対策も考慮したカットの長さを検討しましょう。

定期的に健康チェックする

愛猫の皮膚や目に異常がないか、日頃からよく観察するのも紫外線対策の一環です。特に紫外線が当たりやすい部分(耳、鼻、まぶたなど)に、赤み、かさつき、フケ、脱毛、しこり、ただれがないか注意深く確認してください。目は、充血や目やにがないか、涙が多くないかという点を確認します。

異変に気づいたら、放っておかずに早めに動物病院を受診することが大切です。皮膚がんや目の病気は、早期発見・早期治療が重症化を防ぐ鍵となります。

日差しが強い時間帯は屋外に出さない

愛猫が屋外に出る習慣がある場合は、日中の日差しが強い時間帯(午前10時から午後2時頃)はなるべく屋外に出さないようにしましょう。夏は熱中症リスクもあるため、できるだけ屋外で過ごさせると安心です。

猫の健康に関する相談はオンラインでも

夏場は紫外線や暑さなどの影響で猫も体調を崩しやすくなります。いつもと様子が違う…と思っても、暑いなか外出させるのは難しいこともありますよね。そんなときはペットのオンライン診療アプリ「ペットドクター」が便利です。自宅からビデオ通話を通じて獣医師の診察を受けることができます。困ったときはぜひ検討してみてくださいね。