猫の湿疹の原因は?受診の目安やケア・予防方法を解説
猫の病気

2026年4月21日

人間よりも皮膚が薄い猫にとって、湿疹は身近な皮膚トラブルのひとつです。とはいえ湿疹とひと口にいっても原因や症状の程度はさまざまなので、どう対処したらいいのか迷うこともあるかと思います。この記事では、猫の湿疹の原因や受診の目安、ケア方法などをご紹介します。

猫の湿疹、どんな症状がある?

湿疹は皮膚表面に起こる炎症の総称で、「皮膚炎」とも呼ばれます。猫の湿疹では主に下記のような症状があらわれます。

  • 皮膚の赤み、ブツブツ
  • 痒み
  • ただれ、かさぶた
  • 脱毛
  • フケの増加
  • 皮膚のベタつき
  • 独特の臭い など

痒みや痛みがあると、しきりに同じ場所を舐めたり掻いたりする行動が目立つようになります
湿疹はどの部位にもできる可能性がありますが、皮膚が蒸れたり擦れたりしやすい脇や内股、指の間、被毛が薄いお腹などは特に症状が出やすい傾向にあります。

猫の湿疹で考えられる主な原因

猫の湿疹は、外部からの刺激で起こる場合もあれば、病気やストレスがきっかけとなっているケースもあり、その原因はさまざまです。以下では猫の湿疹で考えられる主な原因をご紹介します。

外部からの乾燥や刺激

空気の乾燥や摩擦といった外部からの刺激は、皮膚のバリア機能を低下させ、湿疹を引き起こします。主な症状は皮膚の赤みやブツブツです。乾燥が原因の場合は、皮膚のかさつきを伴うこともあります。

虫刺され(ノミ・ダニなど)

ノミやダニ、蚊などの虫に刺されることでアレルギー反応や炎症が起き、湿疹が出ることがあります。激しい痒みから執拗に体を舐めたり、首や背中にザラザラとした小さなブツブツが見られたりするのが特徴です。

アレルギー

アレルギーでは特定の食べ物やノミ、ハウスダスト、花粉などに免疫が過剰に反応することで皮膚に炎症が起こります。顔や耳、首周り、お腹、足先などにあらわれる強い痒みが特徴です。

ざ瘡(猫ニキビ)

主にあごの下や口周りにみられる皮膚トラブルで、毛穴に皮脂や角質が詰まって黒いブツブツができるのが特徴です。症状が進むと、皮膚の赤みや腫れ、脱毛などが起こり、痛みや痒みを伴うこともあります。

寄生虫

寄生虫が皮膚への刺激となって、湿疹があらわれることもあります。猫で代表的な寄生虫症は以下3つです。

・ノミ

ノミはアレルギーの原因になるだけでなく、吸血すること自体が刺激となって湿疹を引き起こすこともあります。主な症状は強い痒みと、首周りから背中、しっぽの付け根にかけてあらわれる小さなブツブツです。被毛をかき分けると、ノミの糞が黒い粒として確認できることもあります。

・疥癬

ヒゼンダニによって引き起こされる病気で、頭部や首周りに激しい痒みがあらわれます。症状が進むと、皮膚の赤みやフケ、脱毛、かさぶたといった症状を伴うこともあります。室内で単頭飼育されている猫では比較的まれとされています。

・ツメダニ症

フケのような見た目をしたツメダニという寄生虫が原因で起こる病気です。無症状の場合もありますが、主に若い猫ではお腹や背中などにフケや小さなブツブツ、かさぶた、痒みといった症状があらわれることがあります。

感染症

細菌感染症は猫では比較的まれとされていますが、下記のような真菌感染症は猫でもみられることがあります。

・マラセチア皮膚炎

健康な皮膚や耳にも存在しているマラセチア菌が過剰に増えることで引き起こされる病気です。皮膚のベタつき、フケ、脂っぽい独特な臭い、脱毛などがあらわれます。

・皮膚糸状菌症

カビの一種である糸状菌が原因で、顔や耳周り、足先、しっぽなどに円形脱毛や皮膚の赤みがあらわれます。痒みはそれほど強くないのが一般的ですが、中には痒がる猫もいます。

好酸球性肉芽腫群

免疫に関わる「好酸球」という細胞が皮膚に集まり、炎症を引き起こす病気の総称です。はっきりとした原因はわかっていませんが、アレルギーが関係していると考えられています。皮膚のブツブツや腫れ、痒み、脱毛といった症状があらわれます。

心因性皮膚炎

猫はストレスを感じると自分の体や足を舐める習性があり、過度に舐め続けることで皮膚が傷ついて「心因性皮膚炎」が引き起こされます。心因性皮膚炎では、舐めやすい腹部や内股などに、痒みや皮膚の赤み、脱毛、ただれといった症状があらわれます。

湿疹ができやすい猫種や特徴

どんな猫種でも湿疹ができる可能性はありますが、下記の特徴をもつ猫種は特に湿疹ができやすいため注意が必要です。

遺伝的にアトピー性皮膚炎を発症しやすい猫種

アビシニアン、メインクーン、シャムなどは皮膚がデリケートでアトピー性皮膚炎を発症しやすく、湿疹ができやすいといわれています。

短頭種

エキゾチックショートヘアやペルシャ、ヒマラヤンといった短頭種は、顔のしわに汚れがたまりやすく、雑菌が繁殖して湿疹を引き起こしやすい傾向があります。

長毛種

ペルシャやメインクーンなどの長毛種は、被毛が密で通気性が悪くなりがちです。皮膚が蒸れやすいため、温度や湿度が高すぎる環境では特に湿疹ができやすくなります。

被毛がほとんどない猫種

スフィンクスのように被毛がほとんどない猫種は、皮膚が露出しているため、乾燥や摩擦といった刺激による湿疹が起こりやすいです。

猫、シニア猫、基礎疾患がある猫

免疫力が発達途中の子猫や、免疫力が低下しているシニア猫や基礎疾患がある猫は、皮膚のバリア機能も低下しやすく、湿疹ができやすい傾向があります。

猫の湿疹の受診目安

湿疹ができていても1~2日で改善するようであれば、乾燥や摩擦による一時的な湿疹と考えられます。愛猫に気にする様子がなければ、自宅で様子をみてもいいでしょう。

一方、下記のような症状があるときは病気が関係していたり、すでに症状が進んでいたりする可能性があります。早めに動物病院を受診してください。

  • しきりに掻いたり舐めたりしている
  • 出血、膿、ただれがある
  • 広範囲に毛が抜けている
  • 腫れ、しこりがある
  • 皮膚以外の症状がある
  • 元気や食欲がない
  • 症状が急激に悪化している

上記以外でも気になる症状があるときは、一度病院を受診しておくのが安心です。

猫の湿疹の治療方法

猫に湿疹ができているときは、背景にある病気を根本から治療する必要があります。猫の湿疹は、原因に合わせて下記のような方法で治療をするのが一般的です。

  • アレルギー:アレルゲンの除去、薬物療法(抗ヒスタミン薬、抗炎症薬)
  • ざ瘡:薬物療法(抗菌薬、抗炎症薬)、シャンプー
  • 寄生虫:薬物療法(駆虫薬)
  • マラセチア皮膚炎:薬物療法(抗真菌薬)、薬用シャンプー
  • 皮膚糸状菌症:抗真菌薬
  • 好酸球性肉芽腫症候群:薬物療法(抗炎症薬、免疫抑制剤)、アレルゲンの除去 など
  • 心因性皮膚炎:生活環境の見直し

症状の程度や年齢、基礎疾患の有無などによっては、上記以外の治療方法が検討されることもあります。

猫に湿疹ができたときの家庭でのケア方法

乾燥や摩擦など病気以外が原因と考えられる軽度の湿疹であれば、家庭でのケアで改善することもあります。猫の湿疹は下記の方法でケアしましょう。

皮膚を清潔に保つ

汚れは皮膚への刺激となり、湿疹を悪化させる要因になります。こまめにブラッシングをする、汚れが目立つ場合はペット用の体拭きシートや蒸しタオルで優しく拭くといった方法で、皮膚を清潔に保つようにしましょう。

生活環境を整える

生活環境が不衛生な状態だと、雑菌が繁殖しやすいだけでなく、猫がストレスを感じて心因性皮膚炎につながるリスクもあります。愛猫が使う寝具やおもちゃはこまめに洗い、室内も定期的に掃除するようにしましょう。

食事内容を整える

皮膚の健康維持に必要な栄養が不足すると、バリア機能が低下して湿疹の悪化につながることもあります。タンパク質や良質な脂質、ビタミン、ミネラルなど必要な栄養がバランスよく摂取できるよう、食事内容を整えましょう。
免疫力を高めるサプリメントを取り入れるのもおすすめです。

猫に湿疹ができたときに家庭でやってはいけないこと

人間用の薬はもちろん、過去に処方された薬や市販薬を自己判断で使用するのは避けましょう。原因に合わない薬を使うと、かえって症状が悪化するおそれがあります。

また、強くこする、かさぶたを剥がすといった皮膚に刺激を与えるようなケアも避けてくださいね。

猫の湿疹を予防するために日頃からできること

猫の皮膚はデリケートで湿疹ができやすいため、日頃からケアしてあげることが大切です。ここからは、猫の湿疹の予防方法をご紹介します。

シャンプーは適切な頻度で行う

猫にはグルーミングで体を清潔に保つ習性があるため、基本的にシャンプーは必要ありません
ただ長毛種や短頭種、シニア猫はグルーミングが不足することがあるため、汚れが気になる場合は1~2ヶ月に1回程度、低刺激のシャンプーで洗ってあげてもいいでしょう。

生活環境を清潔に保つ

生活環境を清潔にすることは、ノミやハウスダストによるアレルギーの予防や、皮膚のバリア機能の維持に重要です。愛猫が過ごす場所やよく使うものは、できるだけ清潔な状態を保つようにしましょう。

栄養バランスの整った食事を心がける

皮膚の健康維持には、体の内側からのサポートも欠かせません。必要な栄養を摂取できるよう、猫種や年齢に合った食事を心がけましょう。

定期的にノミやダニの予防薬を使う

年間を通して継続的にノミやダニの予防薬を使用すると、寄生虫による湿疹のリスクを下げることができます。市販薬もありますが、年齢や体質に合ったものを動物病院で処方してもらうとより安心です。

こまめにブラッシングをする

ブラッシングには、汚れや抜け毛を取り除いて被毛の通気性を保ったり、血行を促進して皮膚の代謝を整えたりする役割があります。皮膚トラブルがなければ、短毛種は週に3〜4回、長毛種は毎日行うといいでしょう。
その際、皮膚の状態を確認しておくと湿疹の早期発見にもつながります。

ストレスを減らす

ストレスを減らすことで、心因性皮膚炎の予防につながります。環境の変化や大きな音などの刺激、コミュニケーション不足など猫のストレスとなることはできるだけ避けましょう。

身を隠せる隠れ家を用意する、静かな場所にトイレや食事スペースを設ける、毎日決まった時間に遊ぶといった対策を、必要に応じて取り入れてみてくださいね。

猫の湿疹の相談はオンラインでも

猫の湿疹は軽症で済むこともありますが、愛猫のこととなると、ちょっとした皮膚トラブルでも心配になりますよね。「受診するほどではなさそうだけれど、専門家に相談したい」というときもあるかと思います。
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