2026年3月12日
犬の皮膚にみられる「ただれ」は、単なる外傷だけでなく、皮膚トラブルや病気が背景にあることもあります。この記事では、犬の皮膚がただれているときに考えられる原因や受診の目安、家庭でできるケア方法などをご紹介します。
犬のただれってどんな状態?
ただれは皮膚が剥がれて赤くなり、ジュクジュクと湿った状態を指します。医学的には、皮膚の表面のみが剥がれているものを「びらん」、深くまで傷ついているものを「潰瘍(かいよう)」といい、どちらも痛みやかゆみを伴うのが一般的です。
症状の程度によっては、毛が抜けたり膿がみられたりすることもあります。
犬のただれができやすい場所はどこ?
犬のただれは、蒸れたり摩擦などの刺激を受けたりしやすい次のような部位で比較的みられやすいです。
摩擦が多い場所
- 脇の下
- 内股
- 首まわり
蒸れやすい場所
- 耳の付け根
- 指の間
- 顔のしわ
舐めやすい場所
- 足先
- お腹
- 口の周り
犬のただれで考えられる主な原因は?
犬のただれは、やけどのようなケガによってできることもありますが、なかには病気が関係しているケースもあります。犬のただれで考えられる主な原因は下記のとおりです。
膿皮症
健康な皮膚にもともと存在している細菌(常在菌)が、ババリア機能の低下などをきっかけに増殖して起こることがある感染症です。
初期症状はかゆみや湿疹ですが、症状が進むと膿が溜まった水ぶくれのようなもの(膿疱)が破れて皮膚がただれることがあります。
かゆみを伴う病気
病気そのものがただれを引き起こすのではなく、激しいかゆみによる舐め壊しや掻き壊しによってただれができるケースもあります。
かゆみを伴う代表的な病気は、アレルギー、マラセチア皮膚炎、疥癬、毛包虫(ニキビダニ)症などです。
自己免疫疾患
細菌やウイルスなどから体を守る役割をもつ免疫系が、自分自身の細胞を攻撃してしまう病気です。
なかでも「落葉状天疱瘡(らくようじょうてんぽうそう)」では、症状が進んで水ぶくれが破れることで、びらんやただれが見られることがあります。
皮膚腫瘍
肥満細胞腫や皮膚リンパ腫など腫瘍のタイプによっては、表面がえぐれてただれのように見えることがあります。
特にただれに注意が必要な犬種
どの犬種でもただれができる可能性はありますが、下記の犬種は皮膚トラブルが比較的見られやすいといわれており、日頃のケアが大切です。
しわが多い犬種
フレンチ・ブルドッグやパグ、ボストン・テリアといったしわが多い犬種は、しわの間に湿気や汚れがたまりやすいです。湿気や汚れが溜まりやすく、皮膚炎からただれが起こることがあります。
垂れ耳の犬種
ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ビーグルといった垂れ耳の犬種は、耳の中が蒸れて炎症を起こしやすい傾向があります。耳の中の炎症が周囲の皮膚にも広がり、ただれにつながることがあります。
毛の密度が高い犬種
マルチーズ、トイ・プードル、シー・ズーといった毛の密度が高い犬種は、皮膚に湿気がこもりやすいです。雑菌が繁殖して皮膚トラブルが引き起こされることによって、ただれができるリスクが高まります。
遺伝的にアレルギーを発症しやすい犬種
フレンチ・ブルドッグやパグ、柴犬、ヨークシャー・テリアといった犬種は、遺伝的にアレルギーを発症しやすいことが知られています。舐め壊しや掻き壊しによるただれに注意が必要です。
犬のただれの受診目安と治療方法
ただれている部分は皮膚のバリア機能が低下していて症状が悪化しやすいだけでなく、ただれが病気のサインの可能性もあります。そのため愛犬にただれがあるときは、症状の程度にかかわらず、早めに動物病院を受診するのが安心です。
特に下記のような症状があるときは、すでに症状が進んでいるおそれがあるので、できるだけ早めの受診をおすすめします。
- 膿が出ている
- 患部から独特の臭いがする
- 傷が深くなっている
- 広範囲に脱毛がある
- しきりに舐めたり掻いたりしている
- 1日のうちに症状が急激に悪化した
病院ではただれ周囲の毛を刈り、患部の洗浄や消毒といった処置を行います。
病気が関係している場合は、原因にあわせて下記のような治療が検討されます。
- 膿皮症:薬用シャンプー、抗菌薬(外用薬、内服薬)
- アレルギー:アレルゲンの除去、シャンプー、抗ヒスタミン薬
- マラセチア皮膚炎:抗真菌薬(外用薬、内服薬)、薬用シャンプー
- 疥癬、毛包虫症:駆虫薬(内服薬、滴下薬、注射薬)
- 自己免疫疾患:ステロイド剤、免疫抑制剤
- 皮膚腫瘍:手術、抗がん剤、放射線療法
犬の年齢や症状の程度などによっては、上記以外の治療方法が検討されることもあります。
犬のただれに家庭でできるケア方法
犬のただれを改善するには、病院での治療はもちろん家庭でのケアも欠かせません。下記の方法を参考にケアしましょう。
適切な頻度・方法でシャンプーをする
シャンプーは皮膚を清潔に保つためにも必要ですが、やり方が悪いと皮膚のバリア機能を低下させ、ただれの悪化につながることもあります。愛犬のシャンプーをするときは、下記のポイントに気をつけましょう。
- 皮膚の状態に応じて、獣医師の指示に従った頻度でシャンプーを行う
- 低刺激なシャンプーを選ぶ
- 35~38℃のぬるま湯を使う
- すすぎ残しがないように念入りに洗い流す
- シャンプー後はしっかり乾かす
- ただれている部分をゴシゴシこすらない
こまめにブラッシングをする
ブラッシングは被毛や皮膚を清潔に保つ助けになるため、こまめに行うのが理想的です。
とはいえやりすぎると皮膚が傷つくおそれもあるので、1回当たり10分程度を目安にしましょう。また、ただれている部分にはブラシが触れないようにしてください。
部屋の温度と湿度を調整する
温度や湿度が高すぎると雑菌が繁殖しやすい状態となり、ただれの症状が悪化しやすくなります。愛犬が過ごす部屋の温度は18~22℃、湿度は40~60%くらいを保つようにしましょう。
生活環境を清潔に保つ
不衛生な生活環境も、ただれを悪化させる要因の一つです。愛犬が使う寝具やタオルはこまめに洗濯し、部屋もきれいに保つようにしましょう。
栄養バランスの整った食事をとる
皮膚の健康を維持するには、体の内側からのケアも必要です。
特にタンパク質やオメガ3などの良質な脂質、ビタミン、ミネラルは、皮膚の健康維持に関わる栄養素として知られています。年齢や犬種にあわせて、バランスよく栄養を摂取できるような食事をこころがけましょう。
犬の肌トラブルの相談はオンラインでも
犬の皮膚は人よりも薄いといわれており、刺激の影響を受けやすい特徴があります。とはいえ肌トラブルが起こるたびに、動物病院に連れて行くのは大変ですよね。
そんなときはペットのオンライン診療サービス「ペットドクター」が便利です。自宅からオンラインで獣医師の診察を受けることができますよ。全国どこからでも利用できるので、困ったときは検討してみてください。