2026年4月20日
犬に湿疹ができるのは珍しいことではありませんが、なかには病気が関係しているケースもあるため、適切に対処することが大切です。この記事では、犬の湿疹の原因や受診の目安、家庭でのケア方法などをご紹介します。
犬の湿疹、どんな症状がある?
湿疹は皮膚の表面に起こる炎症の総称で、「皮膚炎」とも呼ばれます。犬では、主に下記のような症状があらわれます。
- 皮膚の赤み、ブツブツ
- 痒み
- ただれ、かさぶた
- 脱毛
- フケの増加
- 皮膚のベタつき
- 独特の臭い など
痒みを伴う場合、舐める、掻く、噛むといった行動が目立つようになります。
顔周りや耳の付け根、脇の下、内股などは蒸れや擦れといった刺激を受けやすく、湿疹ができやすい部位です。
犬の湿疹で考えられる主な原因
犬の湿疹の原因は、外部からの刺激によるものと、病気が関係しているものに大別されます。ここでは犬の湿疹で考えられる主な原因をご紹介します。
外部からの乾燥や刺激
空気の乾燥や摩擦など外部からの刺激によって皮膚のバリア機能が低下し、湿疹が引き起こされることがあります。
主な症状は皮膚の赤みやブツブツです。乾燥が原因の場合は、皮膚のかさつきを伴うこともあります。
虫刺され(ノミ・ダニなど)
ノミやダニ、蚊などの虫に刺されることで、アレルギー反応や炎症が起き、湿疹が出ることがあります。激しい痒みや赤み、小さなブツブツが見られることが多いです。
アレルギー
特定の食べ物やダニ、花粉、ハウスダストなどに免疫が過剰に反応することで引き起こされる病気です。皮膚の赤み、痒みといった症状があらわれます。
寄生虫
皮膚や毛穴に寄生した寄生虫が原因で湿疹が引き起こされることもあります。犬で代表的な寄生虫症は以下2つです。
・疥癬
皮膚に寄生するヒゼンダニによるもので、激しい痒みを伴うのが特徴です。掻き壊すと、かさぶたができたり毛が抜けたりすることもあります。
・ニキビダニ症(毛包虫症)
毛穴に寄生するニキビダニ(毛包虫)によって引き起こされる病気です。皮膚の赤みやフケ、脱毛といった症状が体の一部に出るタイプと、色素沈着や激しい痒み、かさぶたなどが全身に出るタイプがあります。
感染症
細菌や真菌(カビ)による感染症も、湿疹の原因のひとつです。犬では主に下記のような感染症がみられます。
・膿皮症
健康な皮膚にもともと存在している細菌によって引き起こされる感染症です。症状はさまざまで、皮膚の一部が赤くなる程度の場合もあれば、「膿疱(のうほう)」と呼ばれる膿のたまったできものや脱毛、かさぶたなどが広範囲にあらわれる場合もあります。
・マラセチア皮膚炎
カビの一種であるマラセチア菌による感染症です。痒み、皮膚の赤み、ベタつき、フケといった症状のほか、脂っぽい独特な臭いがあらわれることもあります。症状が長引くと皮膚が黒ずんだり、分厚くゴワゴワしたりすることもあります。
・皮膚糸状菌症
土の中や植物、動物の皮膚などに存在する糸状菌というカビが、皮膚に侵入することで引き起こされる感染症です。主な症状は皮膚の赤み、フケ、脱毛、かさぶたなどで、基本的に痒みは少ないとされています。
ホルモンの病気
ホルモンバランスが乱れることで皮膚のバリア機能が低下し、湿疹があらわれることもあります。犬で代表的なホルモンの病気は以下2つです。
・副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
副腎から分泌されるコルチゾールというホルモンが過剰に分泌される病気です。左右対称の脱毛や色素沈着などの皮膚症状のほか、多飲多尿、食欲の増加、お腹が膨れるといった全身症状もあらわれます。
・甲状腺機能低下症
全身の代謝に関係する甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です。毛が細くなったり抜けたりするほか、皮膚が分厚くなる、黒ずむなどの症状もあらわれます。ボーっとして動きが鈍くなる、水がたまって顔つきが変わるといった変化がみられることもあります。
湿疹ができやすい犬種や特徴
どの犬種でも湿疹ができる可能性はありますが、下記の犬種はとくに湿疹ができやすい傾向があるため注意が必要です。
しわが多い犬種
パグやフレンチ・ブルドッグなどしわが多い犬種では、しわの間が蒸れたり汚れたりしやすく、雑菌が繁殖して湿疹ができやすいです。
毛の密度が高い犬種
柴犬、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバーといった犬種は、被毛の密度が高いため、通気性が悪く皮膚付近に湿気がこもります。
夏場や梅雨時期は細菌が急激に増えて湿疹ができやすいので、特に注意が必要です。
遺伝的にアレルギーを起こしやすい犬種
柴犬、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、シー・ズーといった犬種は、遺伝的にアレルギーによる湿疹を起こしやすいとされています。
皮脂の分泌が多い犬種
トイ・プードル、アメリカン・コッカー・スパニエルなどは、体質的に皮脂が過剰に分泌されやすい犬種です。
皮脂を好むマラセチア菌が増殖しやすく、湿疹が起こりやすい傾向にあります。
子犬やシニア犬、基礎疾患がある犬
子犬やシニア犬、アレルギーやホルモンの病気などの基礎疾患がある犬は、免疫力や皮膚のバリア機能が低下しやすいため、湿疹が起こりやすいとされています。
犬の湿疹の受診目安
数日で改善するような軽度の湿疹で愛犬が気にしていなければ、後述のケアを行いながらしばらく自宅で様子をみてもいいでしょう。
ただし下記のような症状があるときは、病気が関係している可能性があるため、早めに動物病院を受診してください。
- 数日経っても症状が改善しない
- 症状が急激に悪化している
- ただれや脱毛、膿がみられる
- 独特の臭いがする
- 湿疹の範囲が広い
- しきりに舐めたり噛んだりしている
- 湿疹を繰り返している
- 湿疹以外の症状がある
- 元気や食欲がない
上記に当てはまらない場合でも、少しでも気になることがあるときは一度病院を受診しておくと安心です。
犬の湿疹の治療方法
犬の湿疹は、原因に合わせて下記のような方法で治療をするのが一般的です。
- アレルギー:アレルゲンの除去、シャンプー、抗ヒスタミン薬
- 膿皮症:薬用シャンプー、抗菌薬(外用薬、内服薬)
- マラセチア皮膚炎、皮膚糸状菌症:抗真菌薬(外用薬、内服薬)、薬用シャンプー
- 寄生虫:駆虫薬(内服薬、滴下薬、注射薬)
- 副腎皮質機能亢進症:ホルモンの分泌を抑える内服薬
- 甲状腺機能低下症:ホルモンを補充する内服薬
- 乾燥、蒸れ、摩擦:保湿剤、抗炎症薬(外用薬)、生活環境の見直し
症状の程度や年齢、基礎疾患の有無などによっては、上記以外の治療方法が検討されることもあります。
犬に湿疹ができたらどうする?家庭でのケア方法
湿疹の原因が病気ではない場合で症状も軽ければ、家庭でのケアで改善することもあります。犬の湿疹は下記の方法でケアしましょう。
皮膚を清潔に保つ
湿疹を改善するには、皮膚を清潔に保ち蒸れや刺激を減らすことが大切です。しわの間は特に汚れやすいので、定期的に蒸しタオルや犬用のウェットシートで優しく拭き、水分が残らないようにしっかり乾かしましょう。
シャンプーは下記のポイントに気をつけながら、月に1~2回を目安に行うのがよいとされています。
- 犬用の低刺激シャンプーを選ぶ
- 35℃前後のぬるま湯を使用する
- すすぎ残しがないように念入りに洗い流す
- 根元までしっかり乾かす
- シャンプー後は犬用の保湿剤で保湿する
生活環境を清潔にする
生活環境が不衛生な状態だと、雑菌が繁殖しやすく湿疹が悪化する場合があります。
愛犬が過ごす部屋はこまめに掃除をし、ベッドやタオルなど愛犬がよく使うものも定期的に洗濯して、常に清潔な状態を保つようにしましょう。
食事の栄養バランスを整える
栄養不足は、皮膚のバリア機能の低下や湿疹の悪化につながります。特にタンパク質や良質な脂質、ビタミン、ミネラルは皮膚の健康維持に欠かせません。
これらの栄養素を含め、年齢や犬種に合った栄養がバランスよく摂取できる食事を心がけましょう。
犬の湿疹を予防するには?
最後に犬の湿疹の予防方法をご紹介します。
定期的にシャンプーをする
皮膚を清潔に保つため、月に1~2回を目安にシャンプーで体を洗いましょう。シャンプーは犬専用の低刺激のものを選び、洗った後は根元までしっかり乾かします。
シャンプー後は皮膚が乾燥しやすいので、犬専用の保湿剤でケアするといいでしょう。
こまめにブラッシングをする
ブラッシングには皮膚や被毛の汚れを取り除いたり、皮膚の新陳代謝を促してバリア機能を整えたりする役割があります。肌トラブルがなければ1日10分程度を目安に、こまめにブラッシングをしましょう。
その際、皮膚の状態を観察するようにすると、湿疹にも早く気づきやすくなります。
生活環境を整える
ダニやハウスダスト、乾燥など皮膚への刺激を減らすため、生活環境を整えることも大切です。愛犬が使う部屋や寝具は清潔に保ち、室内の湿度は40~60%くらいに調整しましょう。
栄養バランスの整った食事を摂る
皮膚の健康を維持するには、体の内側からのケアも欠かせません。ケア方法で紹介した栄養素を参考に、普段からバランスの整った食事を摂るようにしましょう。
ノミやダニの予防薬を使用する
定期的に予防薬を使用することで、ノミやダニが寄生するリスクを減らせます。犬種や健康状態にあったものを動物病院で処方してもらい、年間を通して継続的に使用するようにしましょう。
犬の湿疹の相談はオンラインでも
犬の湿疹についてご紹介しましたが、症状のあらわれ方や程度には個体差があるので、愛犬に合ったケア方法や受診のタイミングを専門家に相談したいと思うこともあるかと思います。
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