2026年4月17日
春や秋になると、人間と同じように犬も花粉症に苦しむことがあります。しかし犬の花粉症は人間ほど目立たないことも多いため、気づかないうちに症状が悪化してしまうケースも少なくありません。そこでこの記事では、犬の花粉症の症状や受診目安、対策を解説します。
犬の花粉症はなぜ発症する?
花粉症は、体内に入ってきた花粉を体が敵だと誤認し、追い出そうとして抗体が作られることで起こります。抗体が作られた状態で再び花粉に接触すると、体内の細胞から化学物質が放出され、強い炎症やかゆみを引き起こします。
人間の花粉症は、長年花粉を吸い込み続けることで体内に蓄積され、ある日突然発症するのが一般的です。
一方犬の場合は蓄積量だけでなく、皮膚のバリア機能が発症に大きく関係しています。皮膚のバリア機能が弱っていると、そこから花粉がダイレクトに侵入してしまうため、より少ない蓄積量でも発症しやすくなってしまうのです。
犬の花粉症の原因物質は?
犬の花粉症の原因となるのは、人間と同じ以下のような植物の花粉です。季節ごとに解説します。
【春の花粉症】スギ・ヒノキ
人間と同様、最も症状が多いのがこの時期です。
スギやヒノキの花粉は風に乗って飛散する距離が非常に長く、どこにいても避けるのが難しいという特徴があります。特に犬は、アスファルトに落ちて溜まった花粉を足の裏から直接吸収してしまい、症状がひどくなることがあります。
【初夏の花粉症】イネ科の植物
初夏はカモガヤやハルガヤといったイネ科の植物が花粉症の原因になります。
背の低い雑草なので、散歩コースの草むらや堤防に密集していることがあり、犬は特に注意が必要です。花粉が飛ぶ距離は短いですが、犬の顔や体に直接触れるため、スギよりも強い皮膚炎を起こしやすい傾向があります。
【秋の花粉症】ブタクサ・ヨモギ
空き地や河川敷に多く生えている植物で、8月後半から10月にかけて飛散します。
秋の乾燥で皮膚のバリア機能が低下し始める時期と重なるため、春に平気だった子が秋に発症するケースも珍しくありません。
犬の花粉症の症状
犬の花粉症でよくみられる症状は以下のとおりです。
花粉症の季節や散歩の後にこれらの症状が見られる場合は、花粉症の可能性があります。犬の場合は特に皮膚に強く症状が出るのが特徴です。
- 皮膚の異常: 体を激しく掻く、足先を執拗に舐める、お腹や目の周りが赤くなる
- 耳のトラブル: 耳を頻繁に振る、耳の中が赤くなる
- 目の異常: 涙目、充血、目やにが増える
- 呼吸器: くしゃみ、鼻水(人間よりは稀)
人の花粉症との違い
花粉症の時期や原因は犬と人に大きな違いはありませんが、症状の出方などいくつか違うポイントがあります。人間の常識で愛犬の花粉症を見過ごしてしまわないために、ポイントを抑えておきましょう。
主な症状の違い
人間は花粉を吸い込むことで鼻の粘膜が炎症を起こし、鼻水やくしゃみが出ますが、犬の場合は肌の激しいかゆみや赤みがメインの症状です。 特に、顔周り、脇の下、足の付け根、指の間など、皮膚が柔らかい場所に症状が出やすいのが特徴です。
愛犬が執拗に体を掻いたり、足先を舐め続けたりしているなら、鼻水が出ていなくても花粉症かもしれません。
侵入経路の違い
人間は主に呼吸によって鼻から花粉を取り込みますが、犬は皮膚や被毛へ付着することと、呼吸によって吸い込むことの2つの経路があります。
犬の皮膚は人間の約3分の1ほどの厚さしかなく、非常にデリケートです。被毛に付着した花粉が、この薄い皮膚を通り抜けて体内に入り込んでしまいます。先に解説した症状の違いの原因はここで、皮膚から吸収するため全身にかゆみが広がってしまいます。
重症化の違い
人間の場合、花粉症を放置すると重症化して副鼻腔炎を引き起こすことがあります。
犬の場合は、強いかゆみから自分の爪で皮膚を傷つけたり舐め壊したりし、そこから細菌が入って「膿皮症」などの二次感染を引き起こすリスクがあります。放置してしまうと、花粉の時期が終わっても皮膚病がなかなか治らないこともあります。
花粉症に特に注意すべき犬種
どの犬種の犬でも花粉症になることはありますが、遺伝的に皮膚のバリア機能が弱かったり、アレルギー体質になりやすかったりする以下の犬種は、特に注意が必要です。
- 柴犬:皮膚が弱く、皮膚トラブルを起こしやすい
- フレンチ・ブルドッグ、パグ:遺伝的にアレルギーになりやすいうえ、皮膚のシワに花粉が溜まって炎症が起きやすい
- レトリーバー種:皮膚が弱く、皮膚トラブルを起こしやすい
- ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア:遺伝的に皮膚疾患が多い
- 長毛種の犬:長い毛が花粉をキャッチし、花粉を連れて帰りやすい
- シングルコートの犬:アンダーコート(下毛)がないため、花粉がダイレクトに地肌に到達しやすい
花粉症の症状があらわれたらどうする?受診の目安と治療方法
犬の花粉症は放っておくと悪化の一途をたどります。受診のタイミングと、動物病院での治療内容を知っておきましょう。
犬の花粉症で受診すべき症状
以下の症状が見られたら、早めに動物病院へ相談しましょう。
- 体を執拗に掻いたり、足裏を執拗に舐めたりする
- 皮膚を掻きすぎて血が出たり、毛が薄くなったりしている
- かゆみのために夜中に何度も起きたり、落ち着きがなかったりする
- 耳の中が真っ赤、耳垢が増えた、独特のニオイがする
- 足の裏や指の間が赤く腫れ、皮膚がふやけている
- 目やに、目の充血、目を頻繁にこすっている
動物病院での花粉症の治療方法
動物病院では、まず本当に花粉症なのかアレルギー検査で診断し、その子に合った治療を行います。
治療によく使われるのは、アレルギー反応を抑えるための抗ヒスタミン薬や、かゆみの伝達をブロックする分子標的薬です。炎症が強い場合は短期間ステロイド剤を使うよう指導されることもあります。
皮膚に付着した花粉を洗い流す薬用シャンプーや、局所的な炎症を抑える塗り薬が処方されることもあります。
愛犬を花粉から守る対策6選
犬の花粉症対策の基本は、皮膚や被毛に花粉をつけないこと、家に花粉を持ち込まないこと、皮膚のバリア機能を高めることの3点です。つらい症状から愛犬を守るために、日常生活の中で以下のポイントを意識してみましょう。
散歩の時間と場所を変更する
花粉の飛散ピークは、気温が上がるお昼前後と、気温が下がる日没前後です。そのため散歩は、飛散量が比較的少ない早朝や夜に行くのが理想的です。雨が降った翌日や風が強い日は地面に落ちていた花粉が舞い上がりやすいため、場合によっては散歩をお休みしてもいいかもしれません。
また草むらや河川敷など、原因となる植物が生えている場所には近づかないようにしてください。公園やアスファルトに生えていることがあるので、注意して観察し、できるだけ避けられるといいですね。
洋服を着せる
被毛に直接花粉がつかないよう、愛犬が嫌がらない場合は服を着せて散歩に行くのもいいでしょう。
ウールや綿などのデコボコした素材は花粉が絡まりやすいため、ナイロンやポリエステルなどのツルツルした素材の服がおすすめです。
帰宅したら玄関の外で服を脱がせ、家の中に花粉を持ち込まないようにしましょう。
帰宅後はブラッシングや拭き取りをする
散歩から帰宅したら、玄関に入る前に外で軽くブラッシングをして、体の表面についた花粉を落とします。このとき飼い主も一緒に服についた花粉を払いましょう。
そのあと、足先、お腹、顔のマズル周辺など花粉が密着しやすい場所を、ぬるま湯で濡らしたタオルやペット用のボディシートで優しく拭き取ってください。特に足の指の間は花粉が溜まりやすいため、しっかり拭いてあげましょう。愛犬が嫌がったり時間がなかったりする場合も、足の指の間だけは拭くようにしてください。
かゆみが強い場合はぬるま湯で足裏を洗ってあげるのも効果的です。
しっかり保湿する
皮膚が乾燥していると花粉が体内に侵入しやすくなります。犬用の保湿スプレーやジェルをこまめに使い、皮膚のバリア機能を整えてあげましょう。できれば散歩から帰宅後、拭き取りをした後に毎日保湿するのが理想です。
シャンプーで花粉を洗い流す
週に1〜2回程度、低刺激のシャンプーで全身に付着した花粉を洗い流すのも効果的です。ただし洗いすぎは乾燥を招くため、すでに皮膚の状態が良くない場合は獣医師に相談して頻度を決めましょう。
シャンプーの後は必ず保湿をしてあげてください。
室内環境を整える
玄関近くや愛犬がよく寝る場所に空気清浄機を設置し、花粉が舞わないようにしましょう。
花粉を除去するためにこまめに掃除機をかけるほか、床をウェットシートや雑巾で水拭きするのもおすすめです。
犬の花粉の相談はオンラインでも
犬の花粉症を緩和するためには動物病院での治療が必要ですが、外出や通院が難しい、受診できるタイミングがないということもありますよね。
そんなときはペットのオンライン診療アプリ「ペットドクター」が便利です。自宅からビデオ通話で獣医師と繋がり、愛犬の様子を見せながら受診することができます。獣医師が必要と判断した場合は、お薬の処方も可能です。お気軽にご相談ください。