犬の春の換毛期|いつからいつまで?トラブルを防ぐケア方法や受診目安
犬の病気

2026年5月2日

春になると犬は換毛期を迎えます。愛犬の抜け毛が激しくなり掃除が大変ですが、これは夏を快適に過ごすための大切な準備期間です。
この記事では、春の犬の換毛期の時期や仕組み、注意すべき病気のサイン、そして愛犬が快適に過ごすための正しいケア方法までを解説します。

春の換毛期がある犬種・ない犬種

春の換毛期は、すべての犬に起こるわけではありません。驚くほど毛が抜ける犬もいれば、ほとんど抜けない犬もいます。
この違いは、犬の被毛の構造が「ダブルコート」か「シングルコート」かによって決まります。

換毛期がある犬:「ダブルコート」の犬種

ダブルコートの犬の被毛は、皮膚を保護するための太くて硬い「オーバーコート(上毛)」と、体温を調節するための密度が高くてふわふわした「アンダーコート(下毛)」の二層構造になっています。 春の換毛期には、このうちのアンダーコートがごっそりと抜け落ちます

ダブルコートの代表的な犬種は次のとおりです。換毛期の変化が激しく、春になると大量に毛が抜けます。

  • 日本犬: 柴犬、秋田犬など
  • 牧羊犬・作業犬: コーギー、ボーダーコリー、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバーなど
  • 小型犬: チワワ、ポメラニアン、ミニチュア・ダックスフンド、パグなど

換毛期がほとんどない犬:「シングルコート」の犬種

シングルコートの犬種は「アンダーコート」を持たず、人間の髪の毛のように一定のサイクルで少しずつ被毛が生え変わります
そのため季節によって一気に毛が抜ける換毛期がありません。

シングルコートの代表的な犬種は次のとおりです。

  • プードル(トイ・プードル)、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、パピヨンなど

犬の春の換毛期はなぜ起きる?

ダブルコートの犬が持っている「アンダーコート」は、冬の間、体温を逃がさないように隙間なくびっしり生えています。 
冬の間はこれで快適に過ごせますが、そのまま夏を迎えてしまうと熱がこもって熱中症のリスクが高まります。そのため春のうちにこの厚い毛を脱ぎ捨てて、通気性の良い夏仕様の被毛に変化させる必要があるのです。

春の換毛期は、これからの暑い夏に向けての準備と言えるでしょう。

犬の春の換毛期はいつからいつまで?

換毛期の最大の引き金は、実は気温よりも日の長さ(日照時間)だと言われています。 春になり、太陽が出ている時間が長くなってくるのを犬の脳が感知すると、「そろそろ夏が来る!」という指令が出され、ホルモンの働きによって冬毛が抜け落ちるサイクルが始まります。

一般的に、春の換毛期は3月頃から始まり、5月頃には落ち着きます。だいたい1ヶ月〜1ヶ月半ほど続くことが多いようです。

換毛期中は手で軽く撫でただけでふわふわの毛(アンダーコート)がごっそり抜けますが、ピークをすぎると少なくなってきます。 アンダーコートが抜けきり、地肌に近い部分の通気性が良くなって、全体的に毛のボリュームがスッキリしてきたら、換毛期が終わったサインです。

ただし個体差がありますし、住んでいる地域によっても異なるため、時期や期間は参考程度に捉えましょう。

また最近では、犬も1年中エアコンで温度管理された室内で過ごすことが増えたため、季節の切り替わりが体に伝わりにくく、春になっても換毛のタイミングがはっきりしない場合もあります。その結果、年間を通して少しずつ毛が抜けるケースもみられます。

春の換毛期に犬に起こりやすいトラブル

換毛期にケアを怠ると、愛犬の健康を損なう以下のようなトラブルが起きやすくなります。これらを予防するためには、後から解説するケアをしっかり行うことが大切です。

皮膚炎や湿疹

抜けた毛が体の表面に残ったままになると、毛の密度が高すぎて通気性が悪くなります。そこに春の湿気が加わると、皮膚が蒸れて細菌が繁殖しやすくなり、赤みやかゆみを伴う皮膚炎や湿疹を引き起こす原因になります。

頑固な毛玉

抜けた毛が周囲の生えている毛と絡まると、毛玉ができやすくなります。特に耳の後ろ、脇の下、股の間などは要注意です。 
毛玉ができると皮膚が常に引っ張られるため、犬は痛みを感じたり、気にして噛んだりすることで、さらに皮膚を傷つけてしまう悪循環に陥ります。

熱中症

冬毛をまとったまま気温が上がると、体に熱がこもって危険です。春でも日差しの強い日は意外と体温が上がりやすいため、換毛がスムーズに進まないと、早い時期から熱中症のような症状を見せる子もいます。

愛犬の換毛期に飼い主ができるケア方法

換毛期に愛犬の皮膚の健康を守るためには、抜け毛を放置せず正しくケアしてあげることが大切です。夏に向けたスムーズな換毛を助けることに繋がります。以下の方法で意識的にケアしてあげてください。

こまめにブラッシングする

換毛期のケアで最も重要なのは、こまめに抜け毛を取り除いてあげることです。 一度に完璧にやろうとすると愛犬も飽きて嫌がってしまうため、1回5〜10分程度で、毎日ブラッシングを行いましょう。1日に数回行ってもかまいません。

ブラシのピンの先が地肌を強くこすらないよう、ブラシは皮膚に対して平行に動かします。自分の腕で試して「痛くない」と感じる力加減が目安です。

こまめにブラッシングすることで、皮膚の通気性が常に保たれて皮膚炎のリスクが下がるほか、抜け毛が室内に飛び散るのも防ぐことができます。

犬種と毛質に合った道具を選ぶ

こまめなブラッシングを快適かつ効果的に行うために、愛犬の毛質に合った以下のような道具を選びましょう。

  • ダブルコートの犬種:スリッカーブラシ。絡まった毛をほぐし、不要なアンダーコートを効率よく取り除くのに最適です。
  • チワワ(スムース)やパグなどの短毛種:ラバーブラシ。柔らかい素材で地肌を傷つけにくく、マッサージ効果で血行も促進します。
  • 全ての犬種:コーム(櫛)。仕上げに使います。毛の根元からスッと通るか確認することで、隠れた小さな毛玉を見逃しません。

ブラッシング後は保湿する

ブラッシングは皮膚にとって刺激にもなります。ブラッシングが終わった後は、犬用の保湿スプレーなどで保湿してあげましょう
皮膚のバリア機能が整い、フケや痒みの予防になります。

月に1~2回シャンプーする

シャンプーは大量の抜け毛を一度に除去できるチャンスですが、頻度は月に1〜2回が目安です。洗いすぎると皮膚が乾燥してトラブルの原因になるため、日々のケアはブラッシングをメインにし、シャンプーは特別ケアとして活用しましょう

シャンプー前には乾いた状態でブラッシングを行い、先に不要な毛を取り除きます。シャンプー後はしっかり保湿してあげましょう。

こんなときは動物病院へ

換毛期に大量に毛が抜けること自体は自然なことで問題ありません。ただし以下のような様子が見られたら、換毛期ではなく病気だったり、換毛期に伴ってトラブルが起きている可能性があるため、動物病院で相談しましょう。

部分的にハゲている、地肌が見える

毛が全体的に薄くなるのではなく、円形や不規則な形で部分的に毛が抜けていたり、完全に地肌が見えていたりする場合は、甲状腺の病気や寄生虫による皮膚炎、ストレスなどが原因で毛が抜けている可能性があります。

皮膚に赤み・湿疹・フケがある、かゆがる

抜け毛と一緒に、皮膚が赤くなっていたり、ポツポツとした湿疹、大量のフケが出ていたりする場合は、アレルギーや細菌感染による皮膚炎の可能性が高いです。

また犬が自分の体を血が出るほど掻きむしったり、執拗に舐め続けたりしている場合も、単なる換毛期のムズムズではなく、皮膚炎の可能性があります。

フェルト状の毛玉ができている

皮膚に密着してガチガチに固まった毛玉は、皮膚を強く引っ張り続け、常に痛みを引き起こします。
また飼い主がハサミで切ろうとして、誤って愛犬の皮膚まで切ってしまう悲しい事故も多いため、固まった毛玉は動物病院で安全に処置してもらう必要があります

愛犬が触られるのを極端に嫌がる

普段は平気なのに、ブラッシングをしようとすると怒ったり逃げたりする場合、皮膚に炎症があって痛みを感じている可能性があります。
無理に続けるとブラッシング自体が嫌いになってしまうため、まずは病院で皮膚の状態を診てもらいましょう。

春の換毛期の相談はオンラインでも

換毛期は毛が抜けるだけでなく、皮膚トラブルも起こりやすいタイミングです。
愛犬に気になる様子がみられるときは、ペットのオンライン診療アプリ「ペットドクター」での相談が便利です。自宅からビデオ通話で医師と繋がり、愛犬の様子を見せながら診察を受けることができます。獣医師が必要と判断した場合はお薬の処方も可能です。困ったときは検討してみてくださいね。