2026年4月30日
春になると、部屋が愛猫の毛だらけになったり、愛猫をなでるたびに毛が舞ったりしますよね。これは春に起こる「換毛期」の影響です。この記事では、猫の換毛期の時期や仕組み、気をつけたいトラブルの解説から、愛猫が快適に春を過ごすための正しいケア方法までを詳しくご紹介します。
春の換毛期がある猫・ない猫
すべての猫に春の換毛期が訪れるわけではありません。まずは、春に明確に換毛期がある猫種とそうでない猫種を整理しておきましょう。
換毛期がある猫:ダブルコートの猫
冬の寒さから守るための「アンダーコート」がある猫種は、春に換毛期があります。
日本猫(三毛猫など)、アメリカンショートヘア、スコティッシュフォールド、ノルウェージャンフォレストキャット、ラグドールなどです
換毛期が目立たない猫:シングルコートの猫
シングルコートの猫は、一般的な換毛期の期間も抜け毛が比較的少ないです。
シャム、シンガプーラ、ベンガルなど、 もともと暖かい地域がルーツの猫種に多い傾向です。
猫の春の換毛期はなぜ起きる?
春の猫の換毛期は、冬に生えていた厚い毛から、通気性のいい薄い毛への生え変わりのために起こります。
特にダブルコートの猫は、寒い冬の間、体温を逃さないように分厚い毛で体を覆っていました。この毛のまま暑い夏を迎えると、体に熱がこもりすぎて熱中症になってしまうリスクが高まります。
春の換毛期は、暑い夏を快適に過ごすための準備とも言えるでしょう。
猫の換毛期はいつからいつまで?
春の換毛期が始まるスイッチは、気温だけでなく日の長さ(日照時間)の変化も関係していると考えられていますです。猫は光にとても敏感です。日が長くなることでホルモンバランスが変わると、冬毛が抜け落ちるサイクルが始まります。
一般的に、春の換毛期は3月頃から始まり、5月頃には落ち着きます。だいたい1ヶ月〜1ヶ月半ほど続くことが多いようです。
換毛期中は手で軽く撫でただけでふわふわの毛(アンダーコート)がごっそり抜けますが、ピークをすぎると少なくなってきます。 アンダーコートが抜けきり、地肌に近い部分の通気性が良くなって、全体的に毛のボリュームがスッキリしてきたら、換毛期が終わったサインです。
ただし換毛期が続く長さや時期には個体差がありますし、住んでいる地域によっても異なります。また最近は照明やエアコンの影響で季節感が鈍り、明確な換毛期がなく1年中少しずつ毛が抜けることも多いです。
猫の換毛期に起こりやすいトラブル
換毛期にケアを怠ると、以下のようなトラブルが起きやすくなります。これらを予防するためには、後から解説するケアをしっかり行うことが大切です。
毛球症(もうきゅうしょう)
猫は自分の体を舐めることで、毛並みをきれいに整えます(グルーミング)。猫の舌には鋭い突起があるため、グルーミング中に舌で絡め取った抜け毛をそのまま飲み込んでしまう習性があります。
飲み込んだ毛は通常便と一緒に排出されるか、たまに吐き出すことで処理されますが、春の換毛期はいつもより毛が抜けやすいため、飲み込む量が許容量を超えてしまうことがあります。
胃の中で消化されなかった毛が絡まり合い、フェルト状の大きな塊になると、胃の出口を塞いだり、腸に詰まったりしてしまうことがあります。これが毛球症です。
毛球症になると、食欲不振、何度も吐こうとするのに何も出ない、便秘、元気がなくなるなどの症状が現れます。まれに腸閉塞を引き起こし、外科的な対応が必要になることもあります。
毛玉・皮膚炎
抜けた毛が体の表面に残ったままになると、生えている毛と絡まってカチカチの毛玉になります。毛玉ができると皮膚が常に強く引っ張られた状態になり、日常の動作だけで痛みを感じることがあります。
また毛玉の下は通気性が悪いため、皮脂や汚れが溜まって細菌が繁殖します。これにより「膿皮症(のうひしょう)」などの激しいかゆみを伴う皮膚炎を招くことがあります。
舐め壊し
抜け毛によるムズムズ感や環境変化などによるストレスから、猫は特定の場所を執拗に舐め続けてしまうことがあります。
ザラザラした舌で同じ場所を過剰に刺激すると、毛が薄くなったり、皮膚が真っ赤に腫れたり、出血したりすることがあります。また舐めれば舐めるほどさらに毛を飲み込み、毛球症のリスクも上がります。
こんなときは動物病院へ
猫は不調を隠すのがとても上手な動物です。春の換毛期に以下のような様子が一つでも見られたら、先にご紹介したトラブルのサインの可能性があります。早めに動物病院を受診しましょう。
- 何度も吐こうとするのに、何も出てこない
- 1日に何度も吐く、または数日続けて吐く
- 食べた直後に未消化のフードを戻してしまう
- 便秘、または便が異常に硬くて小さい
- トイレに何度も行くのに、何も出ていない
- 24時間以上、何も口にしない
- 部分的に地肌が見えるほどハゲている、左右対称に薄い
- 皮膚に赤み、ブツブツ、出血、ベタつきがある
- 体を触ろうとすると怒る、または特定の場所を触ると鳴く
愛猫の換毛期に飼い主ができるケア方法
ここまで解説した通り、春の換毛期は様々なトラブルが起こりやすいタイミングです。自然にケガ抜けるのに任せず、飼い主がしっかりケアしてあげることが大切ですよ。そこで最後に、春の換毛期のケア方法をご紹介します。
こまめなブラッシング
換毛期にはこまめにブラッシングをして、不要な毛を体の表面から取り除いてあげてください。
ブラッシングは、猫が自分では届きにくい頭の後ろ、首回り、背中の中心から始めましょう。そこが気持ちいいと理解すると、お腹や足回りなど、触られるのを嫌がる場所もスムーズにさせてくれるようになります。
猫は拘束されるのが苦手なので、1回で完璧にしようとせず、短時間のケアを積み重ねるようにしましょう。喉を鳴らしてリラックスしているときや、寝起きのボーッとしている時間が狙い目です。
ブラッシングの後は、仕上げとして固く絞った濡れタオルで全身を拭いてあげるのがおすすめです。ブラッシングで浮いた細かい毛を絡め取れるので、猫が飲み込む量をさらに減らすことができます。
愛猫にあったブラシを選ぶ
猫によってお気に入りのブラシが異なります。できるだけ快適かつ効率的にブラッシングができるように、お気に入りのものを探してあげましょう。ブラシには次のような種類があります。
- ラバーブラシ(シリコン製):皮膚を傷つける心配がほとんどない。 柔らかい突起が猫の舌の感触に似ていて、マッサージ効果が高い。特に短毛種におすすめ。
- スリッカーブラシ: 毛の根元から優しく通すことで、フェルト状になる前の毛玉の種をほぐすことができる。長毛種や、毛が絡まりやすい子におすすめ。
- ファーミネーター(除毛ブラシ): アンダーコートを取り除くのに最適なものの、使いすぎると生えている毛まで傷めてしまうため、週に1〜2回、換毛期のピーク時に限定して使う。
- グローブ型ブラシ: なでるだけで毛が取れる。警戒心の強い保護猫出身の子や、道具を怖がる子におすすめ。
飲み込んだ毛の排出をサポートする
ブラッシングで取りきれなかった毛が胃に溜まるのを防ぐため、内側からのケアも同時に行いましょう。
換毛期の間は、市販の毛玉に配慮したフードを食べさせるのもいいでしょう。食物繊維が豊富に配合されていて、胃の中の毛を便と一緒に絡め取って出すのを助けます。全量変えなくても、今のフードに少し混ぜるだけで効果が期待できます。
新鮮な猫草を与えるのもおすすめです。 胃を刺激して毛玉を吐き出すのを助けたり、食物繊維で便秘を防いだりします。ただし吐く力が弱いシニア猫には負担になることもあるため、様子を見ながら与えてください。
猫草が苦手な子には、おやつ感覚で舐めさせる毛玉除去ペーストも販売されています。
快適な湿度を維持する
換毛期に気にしたいのが、室内の湿度です。部屋が乾燥していると静電気が発生し、抜けた毛が体に張り付いてさらに絡まりやすくなってしまいます。
加湿器を使うなどして、湿度50%前後に保ちましょう。
ただし加湿器の熱で愛猫がヤケドをしないように、置き場所には注意が必要です。洗濯物や濡れたタオルを室内に干しておくだけでも一定の加湿効果があります。
春の換毛期の相談はオンラインでも
換毛期は毛が抜けるだけでなく、皮膚トラブルも起こりやすいタイミングです。
愛猫に気になる様子がみられるときは、ペットのオンライン診療アプリ「ペットドクター」での相談が便利です。自宅からビデオ通話で医師と繋がり、愛猫の様子を見せながら診察を受けることができます。獣医師が必要と判断した場合はお薬の処方も可能です。困ったときは検討してみてくださいね。