2025年12月10日
冬の寒い日、愛犬が電気カーペットや湯たんぽの上で丸くなって寝ている姿は、飼い主にとって心温まる光景です。しかしその陰には「低温やけど」という見落とされがちなリスクが潜んでいるため注意が必要です。
この記事では、犬の低温やけどの原因や気づきにくい初期症状、愛犬を守るための予防方法までを詳しく解説します。
低温やけどとは?なぜ犬に起こるの?
低温やけどは、人間が「心地よいあたたかさ」と感じる程度の比較的低い温度(44℃~60℃程度)の熱に、長時間接触することで起こります。
火など高温のものに触れると痛くて反射的に熱を避けることができますが、心地よいあたたかさの場合は痛みを感じないため、気づかないうちに熱がゆっくりと体の深部にまで達し、いつの間にか皮膚組織が壊死するなど重症化しているのが特徴です。
犬は暖かく心地よい場所を見つけると、体勢をほとんど変えずに長時間眠り続ける習性があるほか、局所的な熱への敏感さが低くて熱さへの反応が遅れるため、低温やけどの原因となる「長時間の接触」が起こりやすいです。そのため、気づかないうちに低温やけどを起こすリスクが高いと言えます。
犬の低温やけどの症状
低温やけどは、高温で瞬間的に起こるやけどとは違って症状が遅れて現れます。症状が顕著に出るのは数時間~数日経ってからですが、この頃にはすでに重症化しています。愛犬をよく観察し、初期症状のサインを見逃さないことが大切です。
特に、お腹、内股、肘、かかと、しっぽの付け根など、皮膚が薄い部分や骨が近い部分に症状が出やすい傾向にあります。
低温やけどの初期症状
・接触していた部分の皮膚がわずかに赤くなる、色が濃くなる
・犬自身は特に痛がらない
重症化のサイン
・水ぶくれができる
・皮膚が黒く固くなる
・接触部分の毛が抜ける
低温やけどの原因になる暖房器具の例
犬の低温やけどは、飼い主が善意で用意した暖房器具が原因となることがほとんどです。ここでは、特に熱源と体が密着しやすく、長時間使用すると低温やけどのリスクが高まる暖房器具を紹介します。
あとからご紹介する予防方法を参考に、安全に利用することが大切です。
電気カーペット、電気毛布
低温やけどの最も一般的な原因です。犬が心地よく感じて長時間動かないため、体の同じ部分に熱が蓄積してしまいます。特に電源を入れたまま留守番させる場合は極めて危険です。
湯たんぽ
厚いタオルで包んでいても、長時間同じ箇所に触れ続けていると低温やけどを引き起こします。特に皮膚の薄いお腹や関節部分は危険です。
こたつ
ヒーター部分に近づきすぎたり、中で長時間寝たりすることで、皮膚の薄い部分がやけどするリスクがあります。
ストーブのガード
ストーブ本体の熱から犬を守るために設置するガード(柵)も、金属部分やプラスチック部分がストーブの熱で温められ、危険なことがあります。ガードは高温にはなりませんが、柵に触れている皮膚がじんわりと温められ続けることで、低温やけどの原因となることがあります。
低温やけどに特に注意が必要な犬
すべての犬に低温やけどのリスクがありますが、以下の犬は熱さや痛みを感じにくかったり、自分で移動する能力が低かったりするため、より一層の注意が必要です。
- シニア犬(老犬): 動きが緩慢で、痛みや熱さへの感覚が鈍くなっているため、熱源から離れる判断や行動が遅れがち
- 子犬・病気の犬:自分で熱源から離れることが難しい、また体温調節機能が未熟なため、被害が大きくなる可能性がある
- 短毛種、皮膚が薄い犬: 熱を遮断する被毛や皮下脂肪が少ないため、熱が皮膚の深部に伝わりやすい
もしも低温やけどをしたら?応急処置と受診目安
低温やけどは見た目以上に深部の損傷が深刻なケースが多いため、痛みや症状の有無にかかわらず、全てのケースで適切な応急処置を行って速やかに動物病院を受診することが重要です。
処置手順
- 熱源から離す: 犬をただちに暖房器具から離す
- 流水で冷やす: 患部を流水で10分~15分程度、優しく冷やす。 患部をこする、水ぶくれを破る、軟膏や家庭薬を塗る、氷や氷水を直接当てるなどの行為はNG
- 動物病院を受診する
低温やけどを防ぐための予防方法
低温やけどは、飼い主が注意して見守ることや環境整備によって防ぐことが可能な事故です。愛犬の命を守るためにも、冬に直接皮膚に触れる暖房器具を使用するときは、以下の予防策を実践してください。
温度を低めに設定する
電気カーペットや電気毛布は、設定温度を「高」にせず、低めの設定温度で使用しましょう。熱源の温度そのものを下げることで、低温やけどのリスクを根本から軽減することができます。
接触時間を制限する
タイマー機能を使って、同じ熱源に連続して触れさせないように時間を制限しましょう。連続して使用する時間は長くても3時間程度が目安です。
あるいは飼い主が2~3時間ごとに犬を抱き上げたり誘導したりして、暖かい場所と涼しい場所を移動させるようにしましょう。
二重カバーを徹底する
湯たんぽは必ず厚いタオルや専用カバーで二重に包む、電気カーペットの上には厚手のラグや断熱効果のあるマットを敷く、ストーブの周りに柵を置くなど、必ずカバーを使って熱源と愛犬との間に距離を作りましょう。
クールダウン場所を確保する
愛犬が普段寝ているベッドを電気カーペットの横に置くなど、暖かい場所のすぐそばに安全な非加熱ゾーンを用意し、犬が自由に体を冷ませるようにしてください。
愛犬のサークル内に湯たんぽやホットカーペットを使用する場合は、サークル内の半分だけを温め、残りの半分は非加熱の状態を保ちます。
留守番時は電源を切る
留守番させるときは、電気カーペットなど皮膚に直接触れる暖房器具の電源は切っておくのが安心です。代わりに室内のエアコンを付けておき、防寒着を着せたり毛布やフリースのベッドを設置したりしてあげましょう。
定期的に触診する
犬を暖房器具から移動させた際など、定期的にお腹や肘、内股に赤みや熱がないか、愛犬の皮膚の状態をチェックする習慣をつけましょう。少しでも赤みや変色が見られる場合は暖房器具の使用を中止し、動物病院を受診してください。
犬の健康に関する相談はオンラインでも
犬は言葉を話すことができないので、暑いのか寒いのか、痛いのかなどが分かりづらく、心配になることもあるかと思います。
不安なことがある場合は、オンライン診療アプリ「ペットドクター」が便利です。スマホのビデオ通話を使って、自宅から獣医師の診察を受けることができます。獣医師が必要と判断した場合はおくすりの処方も可能です。些細なことでもお気軽にご相談ください。