かさぶたは犬によくみられる症状のひとつですが、病気が隠れていることもあるため適切に対処することが大切です。この記事では、犬のかさぶたの原因や治療方法、受診の目安などをご紹介します。

犬のかさぶたの原因は？病気なの？

かさぶたは皮膚が傷ついた部分を保護するために、血液や浸出液が固まってできるものです。ケガをしたときにできることが多いですが、犬の場合は病気が原因の場合もあります。かさぶたがあるときに考えられる主な病気は下記の通りです。

膿皮症

健康な皮膚にもともと存在している細菌などが、免疫力や皮膚のバリア機能の低下をきっかけに過剰に増えることで引き起こされる病気です。症状が進んで膿が溜まった水ぶくれのようなもの（膿疱）が破れると、かさぶたができることがあります。

皮膚糸状菌症

カビの一種である皮膚糸状菌が原因で起こる病気です。特徴的な症状は脱毛ですが、症状が進行するとかさぶたもみられるようになります。

寄生虫

寄生虫もかさぶたの原因のひとつです。寄生する虫の種類にもよりますが、ニキビダニ症（毛包虫症）のなかでも全身に症状があらわれるタイプでは、かさぶたができやすいとされています。ヒゼンダニ症（疥癬）は強い痒みを伴うことが多く、掻き壊すことでかさぶたができます。

アレルギー

アレルギーは痒みを感じることが多いため、掻いたり舐めたりして皮膚が傷つくことでかさぶたができやすくなります。犬で多いのはノミアレルギー、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎です。

皮膚腫瘍

皮膚腫瘍でも、炎症や出血によってかさぶたができることがあります。腫瘍には悪性と良性がありますが、かさぶただけでは判断できません。

落葉状天疱瘡（らくようじょうてんぽうそう）

細菌やウイルスなどから体を守る役割をもつ免疫系が、自分自身の細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患です。最初は皮膚の赤みや膿疱といった症状が中心ですが、膿疱が破れるとかさぶたが多くみられるようになります。

犬のかさぶたで病院を受診する目安は？

ケガによる小さなかさぶたで愛犬が気にしていないようであれば、ひとまず自宅で様子をみてもいいでしょう。ただし、かさぶたの原因や症状の程度によっては受診したほうがいいケース 場合もあります。
以下の項目に当てはまる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

• かさぶたの原因がわからない
• 頻繁に舐めたり掻いたりしている
• かさぶたの下が化膿している
• かさぶたが大きくなっている、増えている
• 脱毛やしこりなど、かさぶた以外の症状がある
• かさぶたがなかなか治らない
• 一度治っても繰り返しかさぶたができる

犬のかさぶたの治療方法は？

犬のかさぶたでは、原因にあわせて下記のような治療を行います。

• 膿皮症：薬用シャンプー、抗菌作用のある外用薬・内服薬
• 皮膚糸状菌症：抗真菌作用のある外用薬・内服薬、薬用シャンプー
• 寄生虫症：駆虫するための内服薬、滴下薬 
• アレルギー：抗アレルギー薬、スキンケア、環境改善などによる多角的な治療
• 皮膚腫瘍：手術、抗がん剤、放射線療法
• 落葉状天疱瘡：抗炎症薬、免疫抑制剤

犬の年齢や症状の程度などによっては、上記以外の治療方法が検討されることもあります。

自宅でできる犬のかさぶたのケア方法

愛犬にかさぶたがあっても、原因がはっきりしていて痛がったり痒がったりしていなければ特別なケアは必要ない場合がほとんどです。ただ症状の悪化を防ぐために、自宅では下記のことに気をつけましょう。

皮膚や生活環境を清潔に保つ

皮膚のバリア機能を維持するために、皮膚を清潔に保つことを心がけましょう。汚れはすぐに優しく拭き取る、定期的にシャンプーで体を洗う、濡れた毛はしっかり乾かすといった方法でまずはケアを実践しましょう。

またこまめに部屋を掃除したり、布団を洗濯したりして、生活環境をきれいにしておくことも大切です。

かさぶたを無理に剥がさないようにする

かさぶたを無理に剥がすと治りが遅くなったり、傷口から雑菌が入って感染症を引き起こしたりすることがあります。必ず獣医師の指示に従って治療を行いましょう。愛犬が舐めたり掻いたりする場合は、エリザベスカラーを使用する、服を着せる、患部に包帯を巻くといった方法で対策しましょう。

人間用の薬は使用しない

愛犬のかさぶたで人間用の薬を使うのは避けましょう。人間用の薬は刺激が強いものもあり、症状の悪化につながるおそれがあります。

犬のかさぶたの相談はオンラインでも

犬のかさぶたは自然に治ることもあるとはいえ、家庭では原因を判断するのが難しいため不安になりますよね。しかし病院が遠かったり時間外だったりと、受診のハードルが高いこともあると思います。

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