犬のイボは取ったほうが良い?悪性と良性の見分け方や対処方法
犬の病気

2025年8月15日

犬のイボはそのまま様子をみても心配ないものが多いですが、なかには治療が必要なケースもあるため注意が必要です。この記事では、犬のイボの種類や悪性と良性の見分け方、対処方法などをご紹介します。

犬のイボとは?どんな状態?

イボは皮膚の表面にできる「できもの」のひとつで、皮膚の一部が小さく盛り上がった状態です。犬のイボは体のどこにでもできる可能性があり、比較的よくみられます。
良性のイボと悪性のイボがあり、イボができたからといって必ずしも悪いわけではありません。

犬にイボができる原因は?

犬のイボは、主に下記のような原因で引き起こされると考えられています。

  • パピローマウイルスの感染
  • 加齢
  • 免疫力の低下
  • 遺伝 など

犬のイボの代表的な種類

犬のイボには、さまざまな種類があります。ここでは犬にできる代表的なイボの種類をご紹介します。

乳頭腫

主にパピローマウイルスが原因でできるイボです。ピンク色で、カリフラワーのようなモコモコした形状をしています。基本的には良性で、抗体ができることによって数ヶ月で自然に治る場合がほとんどです。免疫力が低下しているときや、免疫機能が発達途中の若い犬で発症しやすい傾向があります。

高齢犬にみられる乳頭腫はウイルスとは関係ない場合が多く、自然には治りにくいとされています。

皮脂腺腫

皮脂を分泌する皮脂腺の細胞が増殖してできる良性の腫瘍で、表面がザラザラした小さなドーム状のイボができることがあります。
犬によくみられる皮膚腫瘍の一つで、特に中高齢の犬に多いとされています。

脂肪腫

皮下にある脂肪細胞が増殖して塊状になった良性の腫瘍で、高齢の犬に多くみられます。球状や楕円形、扁平など形状はさまざまで、小さいものだとイボのようにみえることもあります。
一般的には触ると柔らかく、数年かけてゆっくり大きくなるのが特徴です。

皮膚組織球腫

3歳前後の犬にみられることが多い良性の腫瘍です。免疫細胞の一種である組織球が増殖することで起こります。赤くて表面がツルっとした、ドーム状のイボのようなできものがあらわれるのが特徴です。
急速に大きくなりますが、痛みや痒みはほとんどなく、多くは3ヶ月以内に自然と小さくなります。

肥満細胞腫

炎症や免疫に関係する肥満細胞が増殖してできる悪性の腫瘍です。皮膚にしこりができ、良性のイボと区別がつきにくいことがあります。お腹周りや手足に見られることが多く、痒みや炎症を伴うこともあります。

扁平上皮がん

皮膚や粘膜にできる悪性腫瘍です。初期には表面がツルっとしたイボや、カリフラワーのようにモコモコしたイボ状のできものがみられることがあります。進行すると表面がジュクジュクしてただれたり、かさぶたになったりします。

皮膚メラノーマ(悪性黒色腫)

メラニン色素をつくる細胞ががん化してできる腫瘍です。斑点状で小さいものから2cmを超えるものまで、さまざまな大きさがあります。基本的には黒っぽい色をしていますが、茶色や灰色など色が薄いタイプもみられます。
一般的には皮膚にできるメラノーマは悪性度が低いものが多いとされています。

犬のイボは悪性のこともある?良性との見分け方は?

先述のとおり犬のイボはほとんどが良性ですが、稀に悪性のこともあります。良性と悪性では、一般的に見た目や触ったときの感触などに下記のような違いがみられます。

大きくなるスピード

  • 良性:ゆっくり、またはほとんど変化しない
  • 悪性:急速に大きくなる

  • 良性:白や肌色など明るめの色が多い
  • 悪性:黒、赤黒、紫など暗い色が多い

感触

  • 良性:柔らかい
  • 悪性:硬くてコリコリしている

可動性

  • 良性:皮膚の下で動かせることが多い
  • 悪性:皮膚とくっついていて動かしにくい

このように、良性と悪性ではそれぞれ特徴があるものの、症状のあらわれ方や程度は犬によってさまざまなので、家庭では見分けにくいこともあります。気になる場合は動物病院を受診するのがいいでしょう。

犬のイボは取ったほうが良い?治療方法は?

良性のイボであれば必ずしも取る必要はなく、そのまま様子を見ても問題ない場合が多いです。
ただしイボが大きくて歩行や排泄など日常生活に支障が出ている場合や、イボを咬んだりこすったりしてしまう場合などは、取ったほうが良いケースもあります。

一方、悪性のイボはそのままにしておくと転移するおそれもあるので、すぐに適切な治療を受ける必要があります。
犬のイボは、種類や症状、年齢などを考慮して、主に下記の方法で治療します。

  • 凍結療法
  • レーザー治療
  • 手術による切除
  • 塗り薬や飲み薬 など

悪性の場合は抗がん剤や放射線で治療することもあります。良性の場合でもイボが大きいと治療が難しくなることがあるので、大きさに関わらず早めに動物病院を受診しておくと安心です。

犬にイボができたときに気をつけたいこと

イボを頻繁に触ったり引っ掻いたりすると大きくなることがあるため、できるだけ刺激を与えないように気をつけましょう。イボが傷つくと、傷口から雑菌が入って化膿することもあります。愛犬がイボを触ってしまう場合は、包帯を巻いたり洋服を着せたりして対策しましょう。

また良性のイボでも稀に悪性化するケースもあるので、日頃からイボの状態をよく観察し、大きさや色、感触などの変化にすぐ気づけるようにしておくことも大切です。

犬のイボの相談はオンラインでも

犬のイボは珍しいものではありませんが、症状のあらわれ方や程度はさまざまなので、家庭でのケア方法などに悩むこともあるかと思います。とはいえ病院が遠かったりすると、受診するのが大変ですよね。
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