猫のしこりの原因は?受診の目安や治療方法は?
猫の病気

2025年9月24日

猫のしこりの原因はさまざまで、なかには治療が必要なケースもあるため、愛猫のしこりに気づいたときは適切に対処することが大切です。この記事では猫のしこりの原因や治療方法、受診の目安などをご紹介します。

猫のしこりの原因は?病気なの?

しこりというと「がん」のイメージがあるかもしれませんが、猫のしこりの原因はそれだけではありません。ただ何らかの病気がきっかけにはなっているため、原因をはっきりさせることが大切です。
猫のしこりの主な原因は下記のとおりです。

良性のしこり

  • 脂肪腫:犬ほど頻度は高くないが、中高齢の猫で見られることがある。やわらかくて動かせるのが特徴。
  • 皮膚嚢胞(表皮嚢胞など):毛穴のつまりや皮脂がたまってできる、袋状のしこり。
  • 組織球腫:猫ではまれだが、若い猫に一時的にできることがある。

炎症や感染によるしこり

  • 膿瘍(のうよう):膿がたまって腫れるしこり。発熱や痛みを伴う。他の猫とのケンカで噛まれた傷から感染することが多い。
  • 肉芽腫:外傷やトゲなどの異物、真菌・寄生虫の感染が原因で炎症が慢性的になり、しこりが残る。
  • 好酸球性肉芽腫:皮膚や口の中にしこりやただれ、隆起が現れる。ノミや食べ物、環境などのアレルギー反応が主な原因だと考えられている。

悪性腫瘍の可能性がある注意すべきしこり

  • 注射部位肉腫:ワクチンや薬を注射した部位に、数ヶ月~数年後に発生する悪性腫瘍。再発しやすい。
  • 肥満細胞腫:皮膚に小さな赤いしこりとして現れることが多い。手術で切除が必要になることもある。
  • 乳腺腫瘍:胸やお腹の乳腺にできるしこり。特に避妊手術をしていないメスの猫では、80~90%以上が悪性とされている。
  • 扁平上皮癌:鼻・耳・まぶたなど、日光に当たりやすい場所にしこりができる。ただれや出血を伴うことが多い。
  • リンパ腫:血液のガンの一種である全身性リンパ腫の症状の一部として、皮膚にしこりが出ることもある。

猫のしこりで病院を受診する目安は?

しこりの原因を家庭で見分けるのは難しいので、愛猫にしこりがあるときは一度動物病院を受診しておくのが安心です。特に下記の項目に当てはまるときは早めに受診するようにしてください。

  • 2cm以上のしこりがある
  • 注射部位にできたしこりが1か月以上消えない
  • しこりを触ると痛がる
  • しこりが硬い
  • しこりから血や膿が出ている
  • しこり周辺の皮膚に変色やただれがある
  • しこりが大きく、日常生活に支障をきたしている
  • しこりが急激に大きくなっている
  • しこりが赤く腫れている、熱をもっている
  • 食欲や元気がない
  • 体重が減っている
  • 発熱がある

猫のしこりの治療方法は?

猫のしこりの治療方法は原因や症状の程度、猫の年齢などによって異なります。一般的には下記の方法で治療します。

良性腫瘍によるしこりの場合

生活に支障がなく、猫の様子がいつもと変わらなければ、治療せずにそのまま経過を観察する場合が多いです。先述の受診の目安に当てはまるような症状が出てきたら、凍結療法やレーザーでの治療、手術での切除が検討されることがあります。

表皮嚢胞によるしこりの場合

しこりが小さければ細い針を刺して内容物を絞り出します。しこりが大きかったり化膿したりしている場合は、手術が検討されます。しこりが小さくて猫が気にしない場合は、特に処置はせず、経過観察することもあります。

炎症や感染によるしこりの場合

細菌感染では抗菌薬、真菌感染では抗真菌薬を使った治療を行います。症状が強い場合は炎症を抑える薬が処方されることもあります。肉芽腫になっている、薬で症状が改善しないといった場合は、手術でしこりを取り除くこともあります。

膿瘍によるしこりの場合

膿瘍では皮膚を小さく切り開いて膿を出します。その後、傷が治るまで消毒を行います。

好酸球性肉芽腫症候群によるしこりの場合

アレルギーの原因となっているものを特定し、除去します。それと並行して、症状を抑えるためにステロイド剤や抗生物質などを投与します。

悪性腫瘍によるしこりの場合

まず手術でしこりを取り除くのが一般的です。しこりの切除が難しい、しこりを切除したものの再発リスクが高いといった場合は、抗がん剤や放射線で治療することもあります。乳腺腫瘍ではホルモン療法も検討されます。

猫のしこりの相談はオンラインでも

愛猫にしこりができると、心配になる人も多いかと思います。とはいえ忙しかったりすると、すぐに動物病院に連れて行けないこともありますよね。
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