2026年5月16日
猫の皮膚のただれは、単なるケガではなく、病気のサインの可能性もあります。この記事では、猫の皮膚がただれる原因や受診の目安、ケア方法などをご紹介します。
猫のただれってどんな状態?
ただれは、皮膚が剥がれて赤くなったり、ジュクジュクしたりしている状態を指します。皮膚の表面のみが剥がれているものを「びらん」、深くまで傷ついているものを「潰瘍」といい、どちらも痛みや痒みを伴うことがあります。
猫は痛みや痒みを感じると舐める習性があるため症状が悪化しやすく、脱毛や出血、膿といった症状がみられるケースもあります。
猫のただれができやすい場所はどこ?
ただれはどの場所でもできる可能性がありますが、猫では特に下記のような場所にただれができやすいとされています。
- 顔まわり(唇、口の中、あごの下、耳、目元)
- 首まわり
- お腹
- 足(太もも、足先)など
猫のただれで考えられる主な原因は?
猫のただれは、主に次のような原因で起こります。
舐め壊しや掻き壊し
病気そのものがただれを引き起こすのではなく、痒みや痛みから皮膚を舐めたり掻いたりすることで、二次的にただれができるケースです。
猫ではアレルギーやマラセチア皮膚炎、疥癬といった皮膚トラブルのほか、ストレスによる過剰なグルーミングが原因となります。
好酸球性肉芽腫症候群
免疫に関わる「好酸球」という白血球が過剰に集まって引き起こされる病気の総称です。主にアレルギーが関係していると考えられています。
唇や口の周囲、内股、腹部といった場所に、ただれ、皮膚の赤み、腫れ、脱毛などがあらわれます。
ざ瘡(猫ニキビ)
あごの下や口周りの毛穴に角質や皮脂などの汚れが詰まり、炎症を起こす皮膚トラブルです。
最初は黒っぽい小さなブツブツがあらわれる程度で自覚症状も少ないですが、症状が進むとただれや出血、脱毛といった症状があらわれ、痛みや痒みを伴うこともあります。
自己免疫疾患
細菌やウイルスから体を守るための免疫が、自分の細胞を攻撃してしまう病気の総称です。
なかでも「落葉状天疱瘡(らくようじょうてんぽうそう)」という病気では、症状が進むと水ぶくれや膿がたまったできものがあらわれ、それらが破れることでただれやかさぶたができます。
皮膚腫瘍
皮膚にある特定の細胞が異常に増えることで、正常な組織にも悪影響を与える病気です。
それほど多い病気ではありませんが、肥満細胞腫や扁平上皮癌などでは、症状が進むと、皮膚表面の細胞が崩れて、ただれができることがあります。
特にただれに注意が必要な猫種や特徴
どの猫種でもただれができる可能性はありますが、特に下記のような猫種は、ただれができやすいため注意が必要です。
遺伝的にアレルギーを発症しやすい猫種
体質的に皮膚がデリケートでアレルギーを発症しやすい猫は、掻き壊しや舐め壊しによるただれのリスクが高いと考えられます。
代表的な猫種は、アビシニアン・デボンレックスなどです。
長毛種
長毛種の猫は、毛量が多く皮膚の通気性が悪くなりがちです。蒸れによる皮膚トラブルが起こりやすく、ただれができやすいとされています。
代表的な猫種には、メインクーン・ラグドール・ノルウェージャン・サイベリアンなどがあります。
被毛がほとんどない猫種
被毛がほとんどない猫種は、皮膚が外気にさらされているため空気の乾燥や紫外線など外部からの刺激を受けやすいです。皮膚トラブルが起こりやすく、ただれのリスクが高い傾向にあります。
代表的な猫種はスフィンクスです。
短頭種
短頭種の猫は、顔のしわに汚れがたまって雑菌が繁殖しやすいです。皮膚トラブルを引き起こしやすく、ただれにつながるリスクも高まります。
代表的な猫種は、エキゾチックショートヘアやペルシャ、ヒマラヤンなどです。
子猫やシニア猫、基礎疾患がある猫
免疫力が発達途中の子猫や、免疫力が低下しているシニア猫、や基礎疾患がある猫は、皮膚のバリア機能も低下しやすく、ただれができやすい傾向があります。
肥満傾向の猫
肥満傾向の猫は皮脂の分泌が増えたり、体の動きが制限されてグルーミングが不足したりすることで、皮膚トラブルが悪化しやすいとされています。それに伴い、ただれのリスクも高まります。
猫のただれの受診目安と治療方法
ただれは軽症に見えても短期間で急激に悪化することがあります。そのため愛猫にただれがあるときは、症状の程度にかかわらず一度動物病院を受診するのが安心です。
特に下記にあてはまるときは、すでに症状が進んでいる可能性があるため、早急に受診してください。
- 膿が出ている
- 患部から独特の臭いがする
- 傷が深くなっている
- 広範囲に脱毛がある
- しきりに舐めたり掻いたりしている
- 1日のうちに症状が急激に悪化した
病院では、ただれ周囲の毛を刈り、患部の洗浄や消毒といった処置が行われます。病気が関係している場合は、原因となっている病気にあわせて下記のような治療も行うのが一般的です。
- アレルギー:アレルゲンの除去、薬物療法(抗ヒスタミン薬、抗炎症薬)
- マラセチア皮膚炎:薬物療法(抗真菌薬)、薬用シャンプー
- 疥癬:薬物療法(駆虫薬)
- 好酸球性肉芽腫症候群:薬物療法(抗炎症薬、免疫抑制剤)、アレルゲンの除去 など
- ざ瘡:薬物療法(抗菌薬、抗炎症薬)、シャンプー
- 自己免疫疾患:薬物療法(ステロイド剤、免疫抑制剤)
- 皮膚腫瘍:手術、化学療法(抗がん剤)
症状の程度や年齢、基礎疾患の有無などによって、上記以外の治療方法が検討されることもあります。
猫のただれに家庭でできるケア方法
ただれは軽症であっても病院を受診するのが望ましいですが、受診までの間や受診後は家庭でケアする必要があります。愛猫のただれは、下記の方法でケアしましょう。
皮膚を清潔に保つ
皮膚が汚れていると刺激になるだけでなく、雑菌が増えてただれの悪化につながることがあります。蒸しタオルやペット用の体拭きシートなどで、皮膚の汚れをやさしく拭き取りましょう。
またブラッシングも皮膚を清潔に保つために役立ちます。ただれている部分を避けて優しくブラッシングしてあげてください。
患部を保護する
猫はただれがあると、違和感から患部を舐めてしまうことがあります。過度に舐めると皮膚が傷つき、症状が悪化することもあるため、必要に応じてエリザベスカラーを着用するなどして患部を保護しましょう。
ただしエリザベスカラーの着用が猫の負担になることもあるため、使用する際は獣医師に相談するのが安心です。
ストレスを減らす
ストレスを感じると猫は自分の体を舐める習性があり、ただれの悪化につながります。
安心して過ごせる静かなスペースを確保する、上下運動ができるキャットタワーを設置するなど、愛猫がストレスをためない環境が整っているか見直してみましょう。
猫のただれを防ぐために日頃からできること
適切にケアをしたり、生活環境や食事を整えたりすることが、愛猫のただれの予防につながります。下記のような方法で対策しましょう。
定期的にブラッシングをする
ブラッシングには、抜け毛や汚れを取り除いて皮膚を清潔に保ったり、血行を促進して皮膚の健康を維持したりする役割があります。皮膚トラブルがなければ、長毛種は毎日、短毛種は週に2~3回を目安にブラッシングをするようにしましょう。
その際、皮膚の状態を確認するようにすると、皮膚トラブルの早期発見にもつながります。
シャンプーをしすぎない
シャンプーのしすぎは、皮膚のバリア機能の低下や猫のストレスにつながります。猫は自分で毛づくろいをして皮膚を清潔に保つため、基本的にシャンプーは必要ないとされています。
ただ長毛種やシニア猫ではグルーミングが不足する場合があるので、皮膚トラブルがなければ、1〜2ヶ月に1回くらいを目安に猫専用のシャンプーで洗ってもかまいません。
ノミ・ダニの予防薬を使用する
予防薬を使用することで、ノミやダニによって引き起こされる皮膚トラブルのリスクを下げられます。どんな猫でもノミやダニが寄生する可能性はあるので、予防薬の定期的な使用を検討しましょう。
市販薬もありますが、動物病院で愛猫の年齢や体質に合ったものを処方してもらうとより安心です。
快適に過ごせる環境を整える
ストレスによる過剰なグルーミングを防ぐため、愛猫が快適に過ごせる環境を整えることも大切です。具体的な方法は下記のとおりです。
- 模様替えなど急な環境の変化を避ける
- トイレや食事スペースは静かな場所に設置する
- 毎日決まった時間に遊ぶ時間を確保する
- キャットタワーなど上下運動ができる環境を用意する
- 隠れられる小さめのスペースを用意する
生活環境を清潔に保つ
生活環境を清潔に保つことは、アレルギーなどの皮膚トラブルの悪化によるただれの予防に効果的です。部屋を掃除するのはもちろん、愛猫の寝具やおもちゃ、食器もこまめに洗って清潔な状態を保つようにしましょう。
特にプラスチック製の食器は傷ついて雑菌が繁殖しやすいため、陶器やガラス製への変更も検討しましょう。
栄養バランスの整った食事を心がける
ただれの予防には、体の内側からのケアも大切です。
肌の健康維持に欠かせないタンパク質や良質な脂質、ビタミン、ミネラルを中心に、バランスよく栄養が摂取できる食事を心がけましょう。
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